空白の5年間のせい?【実録】海外でロングステイする場合、現地で亡くなってしまったら?色々聞いてみた
ファイナンシャルフィールド / 2018年8月3日 23時30分
年金の支給年齢が60歳から65歳になることで発生する、「空白の5年間」問題も手伝って、年金受給までの期間を海外で過ごし、生活費を安く上げたいと、東南アジアを中心に海外ロングステイする人も少なくありません。 平成25年4月から高年齢雇用安定法が施行され、65歳まで再雇用も可能になりましたが、現在この制度施行以前に退職し、リーマンショック時代に退職した年代が70歳を迎える頃になりました。 10年以上前に退職した人がいろいろな理由で帰国できず、結果、海外の滞在先で亡くなる人が増えているといいます。 タイのチェンマイでさまざまな話を聞くことができました。
海外で日本人が亡くなった場合、日本の大使館・領事館ができること・できないことは?
現地の大使館や領事館で対応できることは、在留届に基づいて日本にいる家族等に連絡することです。「日本人らしき人が亡くなった」との通報があっても、在留届も提出されておらず、ビザ期間を過ぎ、日本人の友人もおらずひっそり一人暮らし、認知症を患っていた場合は誰もわからないと思います。
たとえ家族に連絡が取れたとしても、家族が遺体を引き取り火葬するためには、タイ国法律では家族の署名が必要となりますので、親族の誰かが日本からタイまで行くことになります。
熱帯の国タイでは、遺体は病院の冷蔵庫で保管するらしく、1日数百バーツの費用がかかります。遺体の冷蔵費用は大使館や領事館は負担してくれません。昨年度でタイのチェンマイ領事館の管轄で亡くなった日本人は、わかっているだけで38人とのことでした。この数字が多いか少ないかは皆さんに判断にお任せしたいと思います。
海外で暮らす日本人の滞在パターンと問題点とは?
海外で暮らす日本人には大きく7パターンの種類があります。下記の図を見ていただきたい。
種別1~2は、最初から日本に帰国前提で海外に滞在しているため、生活の基盤は日本であり、収入や社会制度は日本と変わらない。運転免許は国際運転免許証を発行している場合が多い。
種別3は、海外ロングステイヤーであり、生活の基盤は日本と海外の両方にあり、季節や年数に応じて海外で生活し、運転免許は現地免許に切り替えている場合が多い。
種別4と5は、海外移住している人であり、住民票が日本なのか現地なのかで大きく異なる。つまり日本に住民票がないことは、日本の社会保険制度(税制面、社会保障面)が適用にならない場合も多く、配偶者が現地外国人のケースが多い。
特に種別5については、配偶者が本人より先に死別、離婚した場合も多く、孤独死になることも。一番トラブルを抱える分類です。
海外に生活基盤を置いている日本人で日本に帰国できない理由とは?
下記の図をご覧ください。次の3つの理由で日本に帰国できない場合のパターンを説明します。
種別1は、人間関係の問題によりやむを得ず育った土地を離れる必要があった人。例えば、地域社会から逃れるために海外に行くことになった人など。
種別2は、経済的な問題で生活費の安い国に行かざるを得なかった人。海外ロングステイを楽しむ人ではなく、生活するために安い国に移住せざるを得なかった人、自宅財産を売却した資金で海外生活をせざるを得なかった人など。
種別3は、異性関係のドラブルにより海外に行くことになった人。夫婦2人でロングステイを楽しんでいた人で、配偶者が帰国してしまい現地の配偶者と結婚、子供が生まれた等により、日本に帰国できなくなった人、日本にいる妻が離婚してくれずそのまま海外に滞在している人など。
まとめ
海外に住んでいる日本人の中には、いろいろな過去のトラブルを抱えてやむを得ず海外で生活している人もいます。長期間海外に滞在することを希望する人には、「どうして海外に住んでいるの?」と質問すること自体がタブーとなることもあります。
海外に滞在するには、地元の日本人会やロングステイの会、長期滞在者の会など複数の日本人サークル的なところで、ある程度情報を収集しながらロングステイすることをお勧めします。
また日本でもロングステイ財団や海外生活を楽しむ会もありますので、気軽に参加してみてはいかがでしょう。
Text:束野 浩(つかの ひろし)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、ロングステイ財団登録アドバイザー。
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