サンマの単価は15年で約8.5倍に! 秋の味覚の代替食材に「イワシ」がおすすめ!?
ファイナンシャルフィールド / 2023年10月2日 5時0分
「秋の味覚」として人気の高いサンマですが、近年値段が高すぎて、なかなか手を出しづらい魚になってしまったと感じる人は多いでしょう。 本記事ではサンマの代わりに注目を浴びるイワシについて、サンマとの価格差を検証してみました。
秋の味覚「サンマ」は、食卓には遠い高級魚に?
水産庁が発表した令和3年度水産白書の「水産物の産地価格の推移」によると、不漁が続くスルメイカとともに、サンマの高値が続いています。
平成18年は1キログラム当たり70円だったのに対し令和3年には600円と、15年程度の間で実に約8.5倍にもなっています。特に平成30年は1キログラム当たり184円で、3年間で約3倍にもなりました。
【図表1】
出典:水産庁 令和3年度 水産白書 第1部 令和3年度 水産の動向 第2章 我が国の水産業をめぐる動き(2)漁業経営の動向 ア 水産物の産地価格の推移 図表2-3 主な魚種の漁獲量と主要産地における価格の推移
また、2023年の札幌中央卸売市場の初競りでも、1キロ当たり23万円、1匹当たりで計算すると1匹がなんと2万8000円と報じられました。もちろんこれは初競りのご祝儀価格ではありますが、2022年の4倍で取引され、価格が高騰しているのは間違いなさそうです。
サンマが値上がりした原因は大きく2つ
年々、漁獲量が減っていることがサンマ値上がりの大きな要因ですが、原因は大きく2つあります。
1.日本近海に親潮が流れなくなり沖合に行ってしまったため、サンマの数が減ってしまった
北海道から東北(常磐沖)の近海は、親潮と黒潮が混ざりあうプランクトンが豊富な豊かな海でした。現在は海水温の上昇が原因ともいわれていますが、親潮が日本近海に流れ込まなくなり、沖合に行ったサンマが栄養不足で死ぬ確率が上がり、さらに稚魚も減ったといわれています。
2.漁業国の増加と大量操業が影響した可能性もある
水産庁が発表している令和4年度水産白書の「国際的なサンマの管理動向」によると、以前は、日本のほかに韓国、ロシア(旧ソ連)のみがサンマを漁獲していましたが、近年では中国、台湾およびバヌアツも漁獲するようになりました。そのため、全体の漁獲量は減っているにもかかわらず、需要が高い状況が続いています。
さらに近隣国である中国や台湾、韓国などが大型漁船で操業を続けるため、サンマ資源に影響があった可能性も考えられます。
このように、サンマは食卓に上がることが少なくなってきましたが、国もさまざまな取り組みをしています。そのひとつが、サンマからイワシへの「魚種転換」のすすめです。水産庁から漁業者への優遇策なども始まり、今後ますますサンマよりもイワシを食べる機会が増えそうです。
イワシの値段はサンマの約10分の1になるときも! 栄養価が高くておいしい青魚
サンマに代わる青魚として、注目を浴びるイワシですが、価格はどの程度、違いがあるのでしょうか。東京卸売市場発表の2023年9月4週(9月23日~9月29日)の週間市況によると、価格は次のようになっています。
・サンマ1キログラム当たり 高値6480円、中値1242円、安値864円 前年同期比88円高
・イワシ1キログラム当たり 高値864円、中値373円、安値324円 前年同期比86円高
サンマ、イワシともに主力サイズは100~110グラムです。1匹100グラムとして中値で計算すると、サンマが1匹/約124円、イワシが1匹/約37円でした。これはあくまでも卸売価格なので、スーパーで手に取る金額はもう少し高くなりますが、イワシはなんと約4分の1の価格でした。タイミングによっては、10分の1程度になるときもあります。
値段で軍配の上がったイワシですが、実は健康の面でもDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)など、身体によい栄養価が、サンマやサバよりも多く含まれていることが分かっています。脳を活性化させる良質な魚の油がふんだんに取れるので、子どもから年配の方まで、積極的に取りたいところです。
「イワシはあんまり食べたことがないなあ」、そんな方もいらっしゃるでしょう。しかし、食べ方はほぼサンマと同じです。煮て良し! 刺し身に良し! ガーリックと粉チーズやパセリを混ぜたパン粉をまぶして、オリーブオイルをかけて焼くのも良し! 寒くなったら、つみれ汁もおいしいです。
値段も安く、健康的なイワシが豊漁なこの秋、ぜひいろいろ試して楽しんでください。
出典
水産庁 令和3年度 水産白書 第1部 令和3年度 水産の動向 第2章 我が国の水産業をめぐる動き(2)漁業経営の動向 ア 水産物の産地価格の推移
水産庁 令和4年度 水産白書 令和4年度 水産の動向 第1部 令和4年度 水産の動向 第4章 水産業をめぐる国際情勢(5)国際的な資源管理 エ サンマ・マサバ等の地域漁業管理機関の動向 〈サンマ等の管理(NPFC)〉
水産庁 海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会 取りまとめ 3. 資源や漁獲の変化とその要因 (1)1 サンマ
水産庁 ~令和5年度 サンマ長期漁海況予報(道東~常磐海域)~
東京卸売市場 水産物の週間市況について 2023年9月4週 (9月23日〜9月29日)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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