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娘が「建設業界に勤めたい」と言っています。年収は高くても「残業」が多そうで不安です……

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月4日 3時0分

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近年、建設業は待遇改善が進んでいるといわれていることもあり、将来が期待できる業界の一つです。それでも過去には、その労働環境が問題となったこともあり、子どもから「建設業界に進む」と聞くと、不安になる親もいるようです。そこで、建設業の現状について、統計を見ながら確認していきましょう。

なぜ建設業にはマイナスイメージがある?

建設業がマイナスイメージを持たれる理由としては、さまざまなものが考えられます。その中でも大きなものとして、労働環境が挙げられるでしょう。メディアでの取り上げられ方を見ていると、「長時間労働で休日が少ないため、休日出勤やパワハラが問題視されることがある」などといわれています。それを目にしたことで、視聴者がマイナスイメージを感じてしまうのだと思われます。
 
実際に野原ホールディングス株式会社が2023年に実施した調査によれば、建設業のマイナスイメージや課題については、建設業界従事者と大学生がともに、残業・休日出勤が多いことや、給料が低いこと、昔ながらの文化や慣習が多いことなどを挙げています。
 
とはいえ、あくまでもこれは一つのアンケートの結果にすぎず、全ての建設業の会社がそうであるわけではありません。建設業と一口にいっても、会社によって社風や働き方は大きく異なります。また、事務関係か現場関係かなどの諸条件によって、実際の環境に違いが出てくることには、留意しておくべきでしょう。
 

建設業の年収や残業などの働き方は?

では、建設業界の平均的な就業日数や年収など、実際の労働環境はどうなっているのかを、政府統計で見てみましょう。
 
総務省の「労働力調査 基本集計 全都道府県全国年次」によれば、建設業全体の平均的な年間就業日数は247.9日です。全体の平均は232.4日ですので、建設業の出勤日数は、全体よりも多いようです。また、1年を365日で考えると、年間の休日数はおよそ117日です。一般的に土日祝が休みであれば、年間で120日程度の休みがあります。加えて年末年始やお盆休みを入れれば、年間で125日前後の休みになると考えられます。
 
こうしたことから考えると、年間117日の休みは、少なすぎるというほどでもありませんが、「有給休暇とは別に、土日祝に年末年始、お盆の休みがある」というような働き方はできないでしょう。
 
また、年間での就業時間数は2013.5時間となっており、全体の平均である1820.3時間と比べると、多くなっています。とはいえ、1日当たりの就業時間はおよそ8.1時間であり、仮に1日8時間の労働が一般的な労働時間と考えると、1日当たりの残業時間はさほど多くはないようです。
 
なお年収は「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、建設業の平均で488万3000円となっています。業種合計の平均額は389万6000円ですので、平均よりもだいぶ高めの年収が得られるようです。
 

建設業の労働環境は改善傾向にある

国土交通省の「建設業の働き方改革の推進」によれば、建設業では建設技能者全体のうち、60歳以上の技能者が4分の1を占めていて、将来的な人手不足が予想されています。それを受けて、令和元年6月には、働き方改革の推進、生産性向上などを掲げた法改正がなされました。統計上は、他業種と比較して、まだそれらの効果が大きく表れているわけではありませんが、今後改善が期待できる状況ではあります。
 
確かに建設業はデータを見ると、他業種と比べて厳しい部分もあるかもしれませんが、直近の法改正や国の方針などを踏まえると、今後改善がなされていくことや、待遇の向上が期待できる業界といえそうです。
 

まとめ

現状、建設業界は、年収は高くとも労働時間や日数が長く、休日出勤や残業も少なくなさそうです。とはいえ、国の力の入れようから察するに、今後は待遇の向上に期待ができる分野です。
 
もし、子どもが「建設業界に勤めたい」と言ったのであれば、単に懸念点のみを伝えて引き止めるのではなく、今後の業界の発展性も含めて、必要なアドバイスを与えたほうがよいでしょう。
 

出典

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査 第1表 給与所得者数・給与額・税額 事業所規模別・企業規模別・業種別(39ページ)
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat) 労働力調査 基本集計 全都道府県 結果原表 全国 2023年 表番号II-B「世帯の種類・世帯主との続き柄・年齢階級・従業上の地位・雇用形態・雇用契約期間・従業者規模・産業・職業別平均年間就業日数・時間(男女計)」
国土交通省 建設業の働き方改革の推進 年齢階層別の建設技能者数(3ページ)
野原ホールディングス株式会社 全国の大学生1,000人による建設業界イメージ調査(PR TIMES)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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