相続を「争族」に変えないために! 心がけておきたいこととは?
ファイナンシャルフィールド / 2024年3月12日 10時10分
相続が円満に行われるものだという考えは、おおむね間違いではありません。大多数の人は、相続を円満に行っています。しかしながら、少数の人については、円満ではなく「争族」に発展してしまう事実も存在するのです。 そこで今回は、「争族」に発展しないために心がけておきたいことを、お話しします。
相続が争族になる原因は?
相続が争族になる原因はいくつもあります。しかし、大きな原因の1つとしては「親子のコミュニケーション不足」だと筆者は感じています。
相続は「次世代に資産を譲ること」です。そのため、親が子や孫へ自分の資産を譲るのであり、誰に何を渡したいかは親が自由に考えれば良いことなのです。あえて言うのであれば、自分の資産を譲るのか自分で使い切るのかといったことも、親が自ら考えれば良いことなのです。
ところが、譲られる子や孫にも意思があり、さらにはその子の配偶者を始めとする親族にも意思があるのです。そのため、親の意思と子や孫の意思がぶつかり合い、争族になるのです。
意思のぶつかり合いは、元気なうちにぶつかっておくこと
人は年齢を重ねるごとに頑固になる傾向があります。頑固になるのは悪いことではありません。それは人生経験を重ねたことにより、自分を守るために必要な手段であり、ひいては自分の資産や家族を守るための手段になっているのです。
しかしながら、年齢を重ねれば人の意見を聞きにくくなることも事実です。「(いろいろなものを)守りたい」という意思が強いと、人の意見をはねつけてしまうのです。
そこで、自分が作り上げた大切な資産や先祖から受け継いできた大切な資産をどのようにつないでいきたいのかを、元気なうちから考えておくことが大切です。そしてその考えを子や孫と共有することが重要です。できれば子の配偶者にも共有しておくことをお勧めしますが、子や孫が了承していれば問題はありませんので、最低限、子には共有してください。
親の意思を共有すると、子の意思と異なるところが出てくることもあるでしょう。そのときは、めいっぱい子とぶつかりましょう。なぜ、自分がこのような思いで大切にしている資産を譲りたいのか、ということをしっかり真剣に伝えてください。子も親の意思や本意が分かれば、理解を示すかもしれません。
もちろん、突然子にこのような話をしても伝わらないかもしれませんが、何度も話し合いを重ねることで、真の意思が伝わることになります。そのため、「元気なうちに」ということがポイントになります。元気なうちに真の意思を何度となく伝え、子に理解を求めるのです。
年に1回程度お互いの意思を確認し、円満相続を目指しましょう
「元気なうちに親の意思を子や孫に伝えましょう」と言われても、どのように伝えたら良いのか、その話を親から切り出すのか子から切り出すのか、というのも難しいところでしょう。
筆者のもとに相談に来られる人についても、親の立場の人もいれば子の立場の人もいます。どちらの立場の人に関しても、相手の意思を知りたいけれど、聞きづらいというのが本音のところです。そのため、そういうときの話の切り出し方の例をお伝えしましょう。
「このまえ、知り合いが相続で大変なことになったって聞いた。その人、亡くなったご主人の財産を子に分けようと相談したら、子は不動産はいらないけど普通預金が欲しいと言ってきたらしい。その人は不動産を譲っても普通預金は渡したくないらしい。だからもめているらしい。」「私はこんな風にもめたくない。」
「このまえ、知り合いが相続で大変なことになったって聞いた。その人、親が亡くなって兄弟で財産を分けようと相談したら、お兄さんと欲しいものがかぶったらしい。その子は親から不動産を譲る、と聞いていたのに兄は渡さない、となり、もめているらしい。」「私はこんな風にもめたくない。」
このように、時間があるときに話を切り出し、年に1回程度は相続の話をして意思を共有し、円満に相続を迎えられるよう、準備を進めてみてはいかがでしょうか。
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士
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