野菜が高いから家庭菜園それってほんとうにお得？

ファイナンシャルフィールド / 2019年2月19日 7時48分

意外とお金がかかる自家栽培。ポイントをしぼってわが家産を例えばトマトの苗は１本150円ほど。うまく育てれば10～20個収穫できます。10個としても、今やトマトは旬の時期でもひとつ100円くらいはしますから、すごく儲かっ […]

意外とお金がかかる自家栽培。ポイントをしぼってわが家産を

例えばトマトの苗は１本150円ほど。うまく育てれば10～20個収穫できます。10個としても、今やトマトは旬の時期でもひとつ100円くらいはしますから、すごく儲かっているのではないでしょうか。

ところが、苗さえ買えばそれでいいというものでもありません。土や肥料、農具や支柱などの資材を考えると、そうお得でもないという結果が出ています。

これはどの野菜も同じ。植えっぱなしでは枯れてしまうこともあり、逆に採れすぎても食べきれずに余してしまいます。また食卓に並ぶ野菜を全て賄うことはそうそうできないので、結局は買うことになります。

種は苗に比べてかなり安く大量ですが、うまく発芽しなかったり、鳥に食べられてしまうリスクもあります。きちんと種から苗を育てるとなると育苗器なども必要になるでしょう。

ある程度育った大苗は手間がいらず安心ですが、その分高くなります。お金をかけずに野菜をつくるには、熟練と手間、時間、そしてすでにある資材が必要です。

あまり手間をかけたくないという方にお薦め

あまり手間も時間も費用もかけたくないという人は、丈夫で放任でもよく育つものに絞るといいでしょう。ミニトマトなどはお弁当やサラダなどの彩りに便利ですが、買ってくると使い切る前にしおれてしまうという人も多いのでは？

庭やベランダにひとつあれば重宝します。大葉などもそうでしょう。買えばけっこうなお値段がするイチゴもおすすめです。環境が合えばどんどん増え、翌年もまた実ります。最近はゴーヤをグリーンカーテンするという人も増えていますね。

花がきれいな野菜もあり、収穫プラスアルファの役割もあれば、ある程度の出費も納得。

ハーブはほとんど植えっぱなしでよく、葉先をちょちょいと摘み取って使うのに重宝します。お店でフレッシュのハーブを買うとなかなかの値段ですよ。収穫しすぎた場合に保存がきくものもおすすめです。

ジャムやピクルスにするのも家庭菜園ならではの楽しみ。豆類なども長期保存が可能です。

結局、価格だけで考えると、全般的にお店で買ったほうが安くておいしいのかもしれませんが、野菜を自分で育てるのは、ただ食費を助けるためだけではありません。

安心な野菜を、いちばんおいしいときに、とれたてで食べられる。食育にもなる。ご近所に配ればコミュニケーションも広がる。なにより土をいじり作物を育てることは、健康・長寿、さらには認知症の予防に効果的との報告もあります。

進化した、「無理せず楽しむ」貸し農園

さて、庭もないがベランダ菜園では物足りないという人には、「貸し農園」という手があります。自治体が貸し出す「市民農園」は、10㎡を年5,000円ほどと安価で借りられます。ただし貸すのは土地のみで、トイレや水道、駐車場などはないケースが多くなります。

毎年抽選で、はずれればまた１年待たなくてはなりません。これに対し、最近は民間の貸し農園も増えています。場所によりますが、東京都八王子市のとある農園の場合、10㎡で月約5,500円～。

費用には肥料や農具、資材、種や苗、栽培のテキストなども含まれ、アドバイザーによる定期的な講習会や、交流イベントも開催されています。

もちろんトイレや水道、休憩スペースも完備。オプションとして栽培代行も行っています。年に一度の募集で継続も可能。ちなみに八王子の駅ビルの屋上にも菜園があり、３㎡が年３万円。水やりもしてくれ、野菜苗にはスーパーにはない珍しいものもたくさんあります。

勤め帰りにちょっと収穫を楽しんだりもできるわけです。なんと駅ビル屋上菜園は都心の恵比寿駅にもあり、こちらはさすがに年１０万円を超えてきます。

このへんになると、家計を助けるというより趣味やレジャー。どこに重きをおくかはあなた次第。

Text：田中恭子（たなかきょうこ）
監修：柴沼直美（しばぬまなおみ）
１級ファイナンシャル・プランニング技能士、ＣＦＰ(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、MBA（ファイナンス）、
キャリアコンサルタント、キャリプリ＆マネー代表