「昭和から令和」で「初任給と年収」はどう推移した? 日本の賃金・物価・税負担率を徹底比較
ファイナンシャルフィールド / 2025年1月7日 8時20分
「昭和」「平成」「令和」と3つの時代を生きている人も多い今、物価の上昇に驚いている人もいるでしょう。しかし、物価上昇のわりに、給料が上がらないという声も耳にします。 そこで今回は「昭和」「平成」「令和」それぞれの世代の初任給と年収の推移を見ていきます。過去と現在でどのような違いがあるか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
「昭和」「平成」「令和」の初任給を比較
まずは、「昭和」「平成」「令和」の初任給を見てみましょう。令和5年(2023年)、平成15年(2003年)、昭和58年(1983年)と20年ごとに比較します。
「賃金構造基本統計調査」を基に、男女別・学歴別に初任給を表したものが表1です。
表1
男 | 女 | |||
---|---|---|---|---|
高校卒業 | 大学卒業 | 高校卒業 | 大学卒業 | |
昭和58年 | 10万6200円 | 13万2200円 | 10万円 | 12万4100円 |
平成15年 | 15万7500円 | 20万1300円 | 14万7000円 | 19万2500円 |
令和5年 | 18万9000円 | 24万300円 | 18万3200円 | 23万4300円 |
※参考サイトを基に筆者作成
昭和から40年で、およそ8万円〜11万円ほどアップしていることが分かります。
「昭和」「平成」「令和」の年収を比較
初任給はおよそ8万円〜11万円のアップとなっていますが、年収はどの程度上がっているのでしょうか?
賃金構造基本統計調査の「所定内給与額」を基に、10人以上の従業員のいる企業規模の会社の平均年収を計算したものが表2です。
なお、所定内給与額とは、基本給に通勤手当や職務手当、家族手当などを含む額で、税金などを控除する前の額です。時間外手当は含まれていません。
表2
男 | 女 | |||
---|---|---|---|---|
所定内給与額 | 年収 | 所定内給与額 | 年収 | |
昭和58年 | 22万9300円 | 275万1600円 | 13万4700円 | 161万6400円 |
平成15年 | 33万5500円 | 402万6000円 | 22万4200円 | 269万400円 |
令和5年 | 35万900円 | 421万800円 | 26万2600円 | 315万1200円 |
※参考サイトを基に筆者作成
昭和58年と令和5年を比較すると、男女とも、ひと月当たりの所定内給与額は13万円ほどアップしています。時間外手当や賞与は含まれていないものの、年収も150万円ほどアップしている結果です。
「昭和」「平成」「令和」物価や税金はどう変わった?
昭和から平成を経て令和になった今、年収だけを見れば増えていますが、物価の上昇などを考慮すると年収の増加によって生活が豊かになったかどうかは一概に比較はできません。
総務省統計局の発表している「2020年基準消費者物価指数」によると、2020年を100とした場合、各年の消費者物価指数は以下の通りです。
●昭和58年:80.3
●平成15年:95.5
●令和5年:105.6
年収の増加と比較すると、物価上昇率が緩やかに感じるかもしれませんが、昭和と令和では、変わったことがほかにもあります。
例えば、消費税です。平成元年(1989年)に、消費税3%が導入され、5%、8%を経て、現在は10%となりました。
税金や社会保険料の負担も増えました。財務省が発表している、国民の租税負担・社会保障負担を合わせた負担率は、昭和58年には35%未満だったのに対し、令和5年度は46.1%に増加しています。つまり、給料の半分近くが税金や社会保険料として引かれていることになります。
昭和から令和になり、年収はアップしたものの、物価や税金の支払いも増えている
昭和から令和に時代は変わり、平均年収は40年で150万円ほど増えています。
しかし、物価の上昇や、消費税の負担、そのほかの税金や社会保険料の負担などにより、年収が増えても生活は楽にならないと感じている人がいるのも事実です。
とはいえ、税負担が大幅に軽減されることは期待できません。今後は、少しでも生活が楽になるよう、副業や投資など、自身の収入や貯蓄の増加を図る努力をした方がよさそうです。
出典
e-Stat 政府統計の総合窓口 賃金構造基本統計調査 / 時系列(~令和元年まで) 新規学卒者の初任給の推移
e-Stat 政府統計の総合窓口 賃金構造基本統計調査 / 時系列(~令和元年まで) 所定内給与額の推移
厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査
e-Stat 政府統計の総合窓口 消費者物価指数 / 2020年基準消費者物価指数 / 年報
財務省 負担率に関する資料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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