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のぞいてみたい! インド料理屋で働いているインド人の東京ライフ!

ガジェット通信 / 2016年10月23日 9時0分

街を歩けば必ずあるインド料理屋さん。かならずしもインド人が働いているわけではなく、おおかたネパール人が働いていたりするわけですが、どんな場所にも見かけますよね。日本にどれくらいあるのか知りませんが、優秀なITサラリーマンでもない限り、日本に来るインド人は大体がレストラン勤務だと思います。

私は約10年間インドに通い、また、その周辺諸国にも滞在したことがありますので彼らにはとても親近感があるのですが、なかなかプライベートまでお付き合いできるわけではありません(ちょっと面倒くさい)。それでも「どのようにして日本に来て働いているのか」「“ジャパニーズドリーム”を掲げて意気揚々と来てみて実際どうなのか」いうことに非常に興味があります。

というわけで、かれこれ7,8年の付き合いになる都内の超有名インド料理屋勤務のムトゥーさん。

来日して今年で9.5年目。バリバリのヒンドゥー教徒です。現在ハマっていることはジム通い。

THE 家族愛のために教育をあきらめた人生

ムトゥーさんは南インド・マドゥライという町からバスで2時間ほどの村で次男(一人の兄と二人の弟、一人の妹がいる)として生まれました。彼の父親は某炭酸飲料で有名な会社で炭酸ガスを運ぶ仕事をしていたそうです。

給料が少ない上、兄弟が多いため一家の経済は困窮してしまうと思い、ムトゥーさんは学校には行かず、子供の頃から働きに出ることを決心したそうです(とは言え、インドカルチャー特有のカーストは低いわけではありません)。

仕事はレストランの厨房。インド各地を転々とまわったそうです。きつい仕事や環境もあったと言います。

日本にはありがたいことに義務教育というものがあり、保護者は子供を守らなければならないという義務がありますのでわたしはどうしても、そうせざるを得ない環境にある子供たちには同情してしまう部分もあります。

そしてムトゥーさんが18歳頃に愛する母親が他界。仕事で遠くにいたムトゥーさんは死を看取れなかったことを未だに後悔しています。

しかしその悲しみの出来事の2年後、今の奥さんと結婚しました。一応お見合い結婚だったらしいのですが、実は子供の頃から知っていた女性だったのでとても運が良かったと言っています。とても救われた気持ちになったと言います。

一人の子供にも恵まれ、3人で実家がある村から遠く離れた東インドの大都市コルカタで生活をしていました。

家族のためにひたすら懸命に働くムトゥーさん。ついに大きな転機がやってきます。

突然やってきたきた! 来日への大チャンス!

ある日ひとりの日本人男性に、「あなたの料理はおいしいので、うちで働きませんか?」と声をかけられたそうです。

まさに青天の霹靂! 日本に行けるビッグチャンスを突然ゲットしたのでした。自分が一生懸命働いてきたことが報われた気がしたそうです。

そしてついに2007年初来日を果たします。

福岡のインド料理屋で働きますが、日本語はわからないし文化も違うので苦労したそうです。それでもお店のスタッフは良くしてくれたと振り返ります。

ところが、最初に掲示された金額よりも安い給料しかもらえないことに次第に不信感を募らせます。

外国人のコミュニティというのは日本でも強く、私が知っている中でも特にインド人やネパール人の結びつきはとてもすごいです。なにせ家族自体の結びつきが強いので、いとこやはとこはもちろん、そのまた遠い親戚でも「ファミリー」意識が強いのです。また、その親戚の友達とも繋がっている場合が多く、まさに無限の繋がりなのです・・・日本の核家族とか信じられませんよ、彼らは。

ムトゥーさんもそんなわけで日本にいるインド人の友達の連絡を受け、上京することになります。

その勤務先が現在でも働いている都内の超有名インド料理屋です。

このお店は立地条件も良く、店内の装飾や料理のクオリティも良いため、ランチでは行列、ディナーでも予約推奨を掲げているくらいの大人気店。今やムトゥーさんはこのお店のシェフの中でもリーダー的な存在となっています(本人はとても謙遜している)。

公開! インド人男性のトウキョウ居住空間がカオス過ぎる!!

さてムトゥーさんは、会社が借りてくれている都内一等地のアパートにて幼なじみで同僚の男性(ムトゥーさんがインドから呼び同じ会社で勤務)と共同生活を送っています。

洋室10畳くらい、ユニットバスのワンルームです。

洗濯物もたたまないのでそこら中でてんこ盛りになっています。

こちらは同居男性のエリアなのですが、とにかく物が多く、全く片付いていません。

ムトゥーさん曰く、「何かしら買ってくる(笑)」とのこと。

押し入れやクローゼットの一部を神棚にしています。

お酒を飲みながらこの前に立ってはいけません。

毎日ここでお祈りをします。

台所です。汚いけど余計な物は一切ありません。ただし、引き出しの中には大量の香辛料などが入っています

ユニットバスです。

インド製の石けんと歯磨き粉しか使いません。

全然掃除をしないのできったないです!

ムトゥーさんの奥さんに以前、「部屋が汚すぎてどうしようもない」とチクったことがありますが、こっぴどく叱られているそばで腹を抱えて笑っていた私です。

しかし料理の味はさすが! 特にマトンカリーはどのインド料理屋よりもダントツです(写真が下手ですみません)!

食生活は全然合わないし、興味がない!

普段はレストランの賄いを自分たちでつくって食べているようなのですが、基本的に休日でもカレーです。

このように、友達のお店にも顔を出し、絶対カレーを食べます

尚、肉料理はマトン、ラム、チキン以外は宗教上絶対食べません

スーパーに行っても、肉売り場は足早に駆け抜けていきます。

インドでは豚は汚い物として扱われ、絶対口にしません。逆に、ヒンドゥー教徒は牛は神聖なる物として崇拝されているので、殺すのすらダメなのに食べるなんて言語道断です。

日本に来ているヒンドゥー教徒の人の中には、郷に従えで、普通に料理の中に入っている豚肉や牛肉などを食べる人もいるかもしれませんが、ムトゥーさんは無理です。

添加物にポークエキスやビーフエキスが入っているだけでも受け付けません

また、魚卵もだめだそうです。

日本料理には興味はないようですが、好きではないけど納豆は食べれるようです。お蕎麦は大好きだと言っています。その代わり七味唐辛子を瓶1本とか入れてました・・・

とにかく辛くないと物足りないようなので、日本の味付けは無味と同じなんでしょうね・・・

ちなみに日本のビールは大好きだそうです。

アリガトウゴザイマスジャパン!

毎朝8時半くらいに家を出て、片付けやらなんやらで帰宅時間は夜遅く。週に一度の休みしかありません。

空いた時間にジムに通って筋トレ。少し休暇ができた際には旅行にも行っているようです。今年は沖縄に行ったようです。故郷を思い出したようで、大変気に入っていました。

ずいぶん日本を満喫しているように私には思えますが、やはりインドに帰りたいと言います。

「ファミリーいないし、さびしいよ。

日本はさ、いい国だし人柄もいいけど、みんな毎日毎日忙しくて、お金お金お金ばっかり。お金はあるけど、心は豊かじゃないよね。」

他の国の人からも聞いたことがあります、この話。まあでも、日本は暮らしていくだけでも大変ですからね・・・

「あと、人に対してのリスペクトがないですね。電車の席譲らないし。自分、自分ばっかりね。」

3年前に私がインドに行く時期とムトゥーさんのインド里帰り時期のタイミングが重なったので、家族や親戚の方々、その他村の方々にもお会いしたのですが、非常に手厚いお世話を頂き、どこの何者かもわからない日本人を快くもてなしてくれたことがあります。それはそれは手厚すぎてまるで“お嬢様状態”。こちらが疲れるくらい・・・また、そのような環境で育ったムトゥーさんをとてもうらやましくも思いました。

みんなムトゥーさんを信じているし、ムトゥーさんもみんなを信じているというのがすごくよくわかりました。

何だかんだ結局、一番はムトゥーさんの頑張りなんだなと思いましたが。

やはりそこにあるのは『敬愛』つまり『ラブアンドリスペクト』なのではないかな、と感じました。

ムトゥーさんの兄(左から2番目)はムトゥーさんと違ってのんきさんです・・・

それから、「お金お金ばっかり」と嘆いていましたが、来日できたのが一つ目の夢、そして二つ目の夢が叶いました。

日本で頑張って働いた甲斐があり、豪邸! 通称“THE JAPAN御殿”を建てました!!

その御殿に宿泊させてもらいましたが、まず、立派な門構えに驚きました。セキュリティー万全です! 当時はまだ2階しかなかったのですが(2階部分は人に貸している)、現在はワンフロア増やして、3階建てになってるとのこと。お客様が来たときにゆっくり滞在できるようにとわざわざ造ったらしいです。いざとなったら私に部屋を提供してくれると言うことなので、いつ日本からいなくなっても大丈夫だという保険になりました! ありがとう、ムトゥーさん!

とりあえず家族のために家を建てられたというドリームは叶いましたが、ここで終わらないムトゥーさんです。

ホントニジャパンアリガトウゴザイマス。ワタシハラッキーナンデスヨ!

ここでドリームを書くのはやめておきますが、みんなに愛されるムトゥーさん、もうしばらく日本でガンバリマショウ!

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』

(執筆者: ベニ子) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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