[総体]大津が初のファイナル進出!!熊本県勢29年ぶりVへ王手!!
ゲキサカ / 2014年8月7日 18時15分
0-0で突入した後半開始直後、前橋育英にこの日最大のチャンスが訪れる。右オープンスペースへ飛び出した青柳が中央へラストパス。大津の守備の乱れを突いたエース渡邊が右足で狙ったが、大津はGK井野太貴(3年)がビッグセーブで阻止して危機を逃れる。後半に入ってSBを起点とした本来の攻撃を見せ始めた前橋育英に流れが傾きかけたが、大津も葛谷が果敢な仕掛けからシュートへ持ち込むなど譲らない。今大会、そのパフォーマンスについて平岡監督が「満足している」と語る倉本龍吾(3年)とこの日「身を挺してやってくれた」と指揮官が目を細めた野田裕喜(2年)のCBコンビをはじめ、中盤の守備で奮闘するMF田原悟とMF平岡拓己(ともに3年)のダブルボランチ、獅子奮迅の動きを見せる葛谷ら大津の好守、そして気迫が先制ゴールを生み出した。
10分、大津は田原からバイタルエリアに侵入した葛谷へボールが入ると、葛谷が左サイドから飛び込んできた坂元の前方へすぐさまスルーパスを通す。DFの背後を取った坂元がSB岩浩平(3年)のスライディングタックルよりも一瞬早く右足を振りぬき、先制ゴールを流し込んだ。「今年のホットライン」(平岡監督)という葛谷と坂元のコンビで奪った先制点。控え部員たちの歓声が響き渡る中、右手人差し指を掲げながらゆっくりと走り出した坂元は、会心の表情でチームメートの祝福に応えていた。
前橋育英はすぐさま反撃に転じ、PAまでボールを運んだが、大津は倉本と野田に加え、大塚椋介(2年)、河原の両CB含めてディフェンスラインが非常に集中力高くゴールを割らせない。それでも前橋育英は22分にMF関戸裕希(3年)がDFを上手くかわしてPAへ侵入し、27分には渡邊が思い切ったバイシクルシュートを狙う。鈴木の正確なボールコントロールやDF下山峻登(3年)のロングスロー、左SB渡辺星夢(3年)の高精度キックも交えた攻撃で大津DF陣にプレッシャーをかける。終盤、CB宮本鉄平(3年)も前線に上げて反撃した前橋育英だが、大津の堅い守りに跳ね返され、逆に相手のDF2人を引き付けてボールを収める大津FW一美和成(2年)に苦戦。CB上原大雅や渡辺星、吉田の必死の守りで2点目は許さなかったものの、一美にクロスから決定的なシュートを放たれるなど、何度も押し戻された前橋育英は最後まで1点が奪えなかった。
大津にとって初のファイナル進出を告げる試合終了の笛。だが、選手たちの喜びは意外にも控えめだった。平岡監督の息子であるMF平岡は「全国制覇のチャンスがつかめて本当に嬉しいです。勝ったのは嬉しかったんですけど、まだチャンスができただけなので、次やってやろうという感じです」と決勝へ向けて気を引き締め、殊勲の坂元も「決勝行くのが目標じゃないので応援のヤツらも満足していないと思うし、東福岡には九州大会も負けているのでしっかりと勝てるように準備したいです。次があるという感じです」と満足していなかった。そして葛谷は「あとひとつまで来て、上手くやるよりも、全力でみんなでひとつになってやっていくことが大事なので、きょうは休んで、頭を少しずつ切り替えてあすしっかり勝てるようにしていきたいです」と宣言。歴史を変えたイレブンだが、目標は「もう1勝」だ。悲願の頂点に立った時に、本当の笑顔を見せる。
(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)▼関連リンク
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