【JFA・キリン スマイルフィールド コーチインタビュー】水沼貴史「本当の気持ちでぶつかり合うからこそ感じるものがある」
ゲキサカ / 2016年3月13日 19時31分
日本サッカー協会とキリンが東日本大震災からの復興応援として活動している「JFA・キリン スマイルフィールド」。子どもたちにサッカーを通じて笑顔になってもらいたいという想いから、岩手・宮城・福島の3県の小学校を対象にサッカー教室を各地で開催している。
東日本大震災から5年経ったいま、「JFA・キリン スマイルフィールド」でコーチを勤める元日本代表の名手たちに、復興への想いを聞くシリーズ企画。第1回は、Jリーグ開幕前の1980年代に日本代表を牽引した名ドリブラー・水沼貴史氏だ。
不安を抱えながら走り出した
サッカーでの復興支援
――最初に「JFA・キリン スマイルフィールド」のコーチの打診をされたときはすぐに引き受けられたのですか?
「復興支援をしたいけど、どう動いていいのかわからない、というジレンマがずっとありました。サッカーでできることがなかなか見つからない中で、キリンさんからそういう活動をしたいと話をいただいて、真っ先に行きたいと思いました。ただ、『元日本代表の選手がきます、一緒にサッカーやりましょう』と言っても、『誰だよ、このおじさん』と思われるだろうし、『年齢的に動けるの?』と思われるかもしれないし、不安もあったんですけど、とにかく行きたかった。子どもたちを元気にすることが簡単ではないことはわかっています。自分が笑わないと子どもたちは笑わないし、本気で向き合わないと子どもたちの本気は返ってこないですから」
――コーチをされるうえで、心がけていることは何でしょうか?
「どんなに人数がいても、基本的にマイクは使いません。なるべく自分の声で伝えたいというポリシーがあって、自分の口から出る言葉を子どもたちに伝えるのが一番だと思うんです。僕は地震があった瞬間には横浜市を車で運転していて、『これはただ事じゃないぞ』と思ってトンネルに入る直前で止まることができた。神奈川でもあれだけ怖い思いをしたんだから、岩手、宮城、福島の子どもたちはどれだけの体験をしたんだろうと想像すると、発する言葉ひとつから考えさせられますよ」
――水沼さんは「JFA・キリン スマイルフィールド」の活動記録をすべてファイルで保存されているそうですね。最初に訪れた場所の話をお聞かせください。
「日付は2011年12月14日で、場所は石巻。仙台市内からバスで2時間ぐらい走ったんですけど、その道中は『どういう子どもたちがいるのかな』『どんなことを考えているのかな』『自分たちが行って何か変わってくれるのかな』……いろいろ考えていました。でも、いざサッカーをやったら楽しんでくれている子どもたちがいて、先生から感謝の言葉をたくさんいただいて、こんなに喜んでもらえるんなら、何度でも来たいなと思いました」
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