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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:覚悟(東京朝鮮高・クォン・ジュンソク)

ゲキサカ / 2016年9月23日 15時51分

 延長前半9分。ピョン・ヨンジュのシュートはジュンソクの目の前で止まる。「何度かチャンスがあった中で決め切れず、ベンチに帰った時も『信じているから』と、『1点で良いから決めてくれ』とみんなに言われたので、どんな形であろうとも泥臭いプレーで行こうと思いました」というジュンソクが右足で振り抜いたボールは、ゴール目前で水しぶきを上げながら減速したが、まるでスローモーションを見ているかのように白線の内側へ転がり込む。
「最後は気持ちでシュートを打ったと思いますし、あの子のハートがそのままゴールに行ったと思うので本当に良かったです。ウチに戻ってきてくれていなかったらあのシュートもなかったですからね」と高監督が笑顔を見せる。延長後半は東亜学園も猛攻を見せたが、リャン・ヒョンジュと共にAFC U-19選手権へ参加する北朝鮮代表に招集されたCBのキム・テウを中心に粘り強く守り切り、ジュンソクのゴールはそのまま決勝点に。東京朝鮮は11月6日に予定されている西が丘でのセミファイナルへと駒を進めた。

「自分は結構接触プレーもしているんですけど、今の所は頭にも異常はないみたいなので」と明るく笑ったジュンソクだが、「真剣な話をすれば、“覚悟”しながらやっているので、あとは『神様が』という感じです」と言葉を続けた。そんな彼には大事な約束がある。「山梨学院の人と約束したのが『お互い全国で会おう』ということなので、『自分が東京朝鮮を全国に連れて行くんだ』という気持ちで毎日やっています。全国で山梨学院と対戦するということが今の自分の原動力となっていますし、それが自分にできる最大の恩返しだと思っているので、それに向かって頑張るだけです」。

 余儀なくされた転校だったが、今のジュンソクには2組の誇れる“チームメイト”がいる。「授業中とかもみんなでバカしたりとかして、結構怒られるんですけど、最高の仲間ですね。メッチャ仲良いです」という東京朝鮮の“チームメイト”と、「みんなが『頑張れ』と言ってくれて、キャプテンとLINEしたりもしていますし、彼らに恩返しできるとしたら、またピッチで会うことだと思っています」という山梨学院の“チームメイト”。どちらもかけがえのない仲間であることは言うまでもない。「自分はみんなに助けられていると思っていますし、本当に周囲のありがたみを感じてきたので、だからこそその想いを『プレーで見せなきゃいけない』というのはずっと思っています。それに応えるためには『頑張るしかない』ですよね」と力強く言い切ったジュンソク。いくつもの覚悟を背負った17歳は 、“チームメイト”と共に“チームメイト”と全国の舞台で再会するため、最後の選手権へと挑んでいる。

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」

▼関連リンク
SEVENDAYS FOOTBALLDAY by 土屋雅史
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