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[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:スマイル・アゲイン(駿台学園高)

ゲキサカ / 2018年5月18日 22時11分

 スタンドとベンチの距離感も近い。この日も応援団のある1人から、しきりに聞こえてきたのは指揮官への呼び掛け。「監督!監督!コレ勝ったら決勝ですよ!」「監督!監督!関東行っちゃいましょう!」。これには場内からも思わず笑いが漏れる。「何を言っているんだ、オマエは!」「まだ試合中だぞ!」。大森監督も応酬する。「アレを言っていたヤツは駿台中から6年間いて、監督と仲良いんですよ。自分たちの授業も監督は持ってくれているので、距離が近いというのも一番ですね。『駿台ならでは』って感じです」と補足情報をくれたのは大野。ともすれば賛否の分かれるやり取りかもしれないが、個人的にはこういう雰囲気があっても良いと思う。

 迎えた後半35分。三澤のパスを受けた上原が、右サイドを切り裂いて中央へ折り返すと、待っていた大野の左足シュートがゴールネットを揺らす。「先週だけスタメンじゃなくて悔しかったので、『次の試合は絶対出よう』と思って練習から意気込んでいました」と口にしたストライカーの一撃はそのまま決勝点。途中投入の三澤と、スタメンに復帰した大野のゴールで得た勝利に「奇跡には近いんですけど、“大森采配的中”って書いといてください。アハハハハ」と豪快に笑った大森監督。駿台学園は劇的な逆転勝利を収め、実に10年ぶりとなる関東大会へ駒を進めることになった。

 試合が終わると、勝利の報告をした選手たちがピッチ上に、報告を受けた応援団がスタンドにそれぞれ列を作り、おもむろに“カモン駿台”が始まる。「自分たちの代になってからみんなで話して、『ウチらしく盛り上がるやつをやろう』ということで今年からやってます。勝った時のアレは気持ちいいですね」(猪田)。恒例になりつつある歓喜の儀式。ただ、この日のダンスはピッチにもスタンドにも涙があった。「何で泣いているのかわからないんですけど、嬉しいですよね」と大森監督が話せば、「応援してくれるヤツらを嬉し泣きさせられたので、本当に良かったですね」とは猪田。ほとんどが3年生だった応援団の涙には、大野も「あの嬉し泣きで自分もヤバかったです」と正直に明かす。笑顔と涙と咆哮と。彼らの一体感がこの勝利でより強まったことは、言うまでもないだろう。

 元々期待されていた代ではなかったという。「入学してきた頃から夏ぐらいまで負けまくっていたので、彼らは1年生の1学期で正直心は折れているんです」(大森監督)。それゆえか、見た目の明るさと現実を見つめる目は意外な程にギャップがある。「『自分たちはそんなに強いチームじゃないのにな』っていうのもあるんですけど、『ああ、勝っちゃってる』ぐらいがウチの良い所なので、気楽にやれている感じですね」(猪田)「高望みはしないと思いますよ。1試合1試合大事に勝っていきたいというのがみんな思っていることですね」(布施谷)。地に足の着いた発言が頼もしい。

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