[SEVENDAYS FOOTBALLDAY]:デジャヴ(國學院久我山高)
ゲキサカ / 2018年6月1日 7時15分
その瞬間。竹浪は「去年と同じだ」と感じていた。“去年”の選手権予選ファイナル。延長後半に許したアディショナルタイムの決勝ゴールは、クロスバーに当たったヘディングの跳ね返りを押し込まれていた。「自分がヘディングで競り合って、こぼれたボールが自分の目の前でフリーの選手に渡って、それが入っちゃったんです」と竹浪が当時を振り返れば、「決められた選手は俺のマークだったんです。試合後は『これ、俺のせいだ』みたいに思って、マジで先輩たちに何も言えない状態で本当に悔しかった」と高橋もその時を思い出す。
まるで“デジャヴ”のような光景。しかし、クロスバーに当たった今回のボールの軌道は、そのまま枠の上へと逸れていき、それからしばらくしてタイムアップの笛が駒沢の空に吸い込まれる。「もう嬉しいっす!マジで!」(高橋)「今日の試合は懸ける想いが違ったので、勝てたのは本当に大きいと思います」(宮本)「最後のインターハイで負ける訳にはいかなかったので、本当にこの勝ちはデカいですよね」(竹浪)。“デジャヴ”の悪夢を振り切り、半年前の敗戦をピッチで経験した三者が三様の喜びを表した久我山が、約2年半ぶりに公式戦で実践に勝利する結果となった。
「負けたくない硬さもあったと思うんですけど、思い切りの良さも出たし、良い所も出たし、最後は泥臭さも含めて頑張ったんじゃないかなと思います」と選手を称えた清水監督は、こうも口にしている。「物凄く手応えのあるゲームやトレーニングができていましたけど、結局それも試合に勝たないと力にならないじゃないですか。だから、自分たちらしさを思い切って出して、勝利が付いてこないと『それ以上の自信には繋がらないだろうな』と。『また惜しい所で終わっちゃうんじゃないかな』と思っていました」。そう考えれば、「残りの試合も勝たないと意味がないと思いますけど、ここが大きな山であったのは間違いないです」と続けた言葉も頷ける。
この勝利を経たことで、久我山の選手たちにもある決意が宿る。「実践も自分たちと同じように、ここで勝ち上がって全国に行こうと思っていたはずなので、実践の分も責任を持って戦わなくてはいけないと思います」(竹浪)「実践には去年苦しめられた分、自分たちの力も高めてくれましたし、ここからは実践の分まで戦いたいと思います」(高橋)。きっと全力でぶつかった者だけにわかることがある。彼らにはまた1つ、負けられない理由が増えたのかもしれない。
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