ネイマール見破った『ビデオ判定』。9回/26試合で示した真価…ロシアW杯VAR全事例集2
ゲキサカ / 2018年7月6日 6時0分
ロシアW杯から新たに導入されている『ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)』制度は、現在開催中のグループリーグ第2節で新たな局面を迎えている。大会7日目はイランのノーゴール判定に力強い裏付けを下すと、同9日目にはブラジルに与えられたPKが取り消されて大きな話題に。賛否分かれる“新世代の審判”がいよいよ真価を示してきた。
VARはビデオモニターを見ながら試合を追い、必要に応じて主審に助言を行う審判、またその制度のこと。一般には『ビデオ判定』とも呼ばれる。今大会では、モスクワの別会場に集まった国際主審4人が担当し、①得点②PK判定③一発退場④人違いの4要素に関して、「明白かつ確実な誤り」に介入することになっている。(詳しくはこちら)
グループリーグ第1節においては、②PK判定3回、③一発退場に関わる判定1回の計4回でVARの介入が行われた(20日に既報)。第2節でもPK判定への介入が続発。だが、これまでのPK判定はいずれも『ノーファウルがPKに変更される』という流れだったが、初めてPK判定が取り消される事例が出てきた。
【事例1】大会6日目 ロシア対エジプト
日本がコロンビアに歴史的な勝利を挙げた数時間後、VARの利益を受けたのは、W杯デビューを飾ったエジプトFWモハメド・サラーだった。対象となったのは0-3で迎えた後半27分。パスを受けようとペナルティーエリアに進入したサラーがロシアMFロマン・ゾブニンに倒された場面だ。
この時、主審はいったんFKの指示を出したが、両チームの選手たちとコミュニケーションを取っている間にVARの介入があった。すぐさま主審はペナルティースポットを指差し、PK判定に修正。このPKをサラーが自ら流し込み、“エジプト王”と称されるスター選手に、待望のW杯初ゴールが生まれた。
ここで注目したいのは、主審が判定を修正する際にピッチ脇のモニターを参照しなかったという点だ。これまでの事例では、該当シーンをスローモーションで確認する主審の姿がテレビ中継でも確認されていたが、ここでは主審が選手たちに取り囲まれたまま、迅速に判断を下していた。
この理由としては『ペナルティーエリアの外か中か』という単純な論点だったからだと推測できる。『ファウルか否か』という論点では、主審の目で見た細かい判断が要求されるが、『外か中か』は映像ならば一目瞭然の違いだ。VARはその点を通信機器を通じて主審に伝えたとみられ、ある意味ではVARが最も得意とする類いの介入だったと言えるだろう。
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