1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

がん手術後から両足がむくむ…何か病気があるのでしょうか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月11日 9時26分

【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#13

 足がむくむ病気のひとつに「リンパ浮腫」があります。はっきりとした原因が分からない原発性リンパ浮腫と、がんの治療後に起こる続発性リンパ浮腫に分けられ、後者の場合、がんの手術でリンパ節を取り除いたり、抗がん剤や放射線治療によってリンパの流れが停滞することで発症します。足に生じた続発性リンパ浮腫では子宮がんや卵巣がんが原因となることが多く、そのため患者さんは女性に多いのが特徴です。

 70代の女性は子宮がんの手術を受けた3年後から、両足のむくみが気になるようになったといいます。主治医に相談すると軽度なため特に治療の必要はなく、しばらく様子を見るよう伝えられたそうです。ただ、月日が経つにつれてむくみが悪化して足の重だるさや張りを感じるようになり友人に相談したところ、リンパ浮腫ではないかと指摘され当院を受診されました。

 リンパ浮腫はがんの手術直後からむくみが生じる人がいる一方で、手術から10年以上経過した後に発症するケースもよく見られます。近年はがんの手術を行う際、「後遺症としてリンパ浮腫が起こるリスクがある」と患者さんに事前に伝えているので、むくみがひどくなる前に受診される方も増えています。しかし、30年ほど前まではリンパ浮腫は放置しても命にかかわる病気ではないとの認識が医師の間でも広がっていたため、治療を受けずに20年以上もむくみをそのままにしている患者さんも少なくありません。

 とりわけ足は腕と異なり、衣服で隠れやすく目につきにくい。むくみが軽度であれば気づくのが遅れ、ある日突然、蜂窩織炎を起こして病院に救急搬送される方も少なくありません。蜂窩織炎を起こしやすい方に対しては、リンパ管と静脈をつなぎ、リンパの流れを改善させる顕微鏡下リンパ管細静脈吻合術(LVA)と呼ばれる手術を行うこともあります。

 リンパ浮腫の標準的な治療は、用手的リンパドレナージと呼ばれる皮膚のマッサージで貯留したリンパ液を流し、たまるリンパ液の量を減らすために弾性ストッキングの着用を行います。圧迫治療と並行してウオーキングやエアロバイクを用いた運動療法を行うと、むくみが改善されると報告されているため、リンパ浮腫のスタンダードな治療法として世界中で行われています。

 次回はリンパ浮腫の方に有効な弾性ストッキングについてお話しします。

▽松原忍(まつばら・しのぶ)順天堂大学再生医学講座 形成外科。琉球大学卒業後、同大学胸部心臓血管外科教室へ入局。末梢血管疾患の診療に携わった後、横浜市立大学形成外科でリンパ浮腫に対する手術法を学ぶ。2020年から順天堂医院足の疾患センターでリンパ浮腫診療を開始。24年4月から現職。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください