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年金月16万円・元気が取り柄の77歳の母「老人ホームに入る」と仰天宣言…あれから5年、突然「ホームを出る」と嗚咽したワケ

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月10日 7時15分

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老人ホームは介護が必要になったり、自宅での介護が難しくなったりしたら入居するところ、というイメージが強いですが、昨今は健康な人でも入居できる施設が増え、高齢者の住まいの選択肢のひとつとして人気が高まっています。そんな老人ホーム、気に入って入居したはずが退去を決めるケースも珍しくはありません。みていきましょう。

健康で風邪知らずの77歳の母が、突然の仰天宣言

――突然、母が老人ホームに入ると言い出して驚きました

50代女性の投稿。5年ほど前の衝撃を話します。当時母は77歳。健康で風邪知らず、元気が取りえの母の突然の宣言に、娘である女性はもちろん、親戚中に衝撃が走ったといいます。

――まだ元気なのに、なんで?

女性の問いかけに対して母は、漠然とひとり暮らしに不安を感じたといいます。15年前に父が亡くなって以来、ひとり暮らし。父が亡くなった直後はふさぎ込んでいるときもあったといいますが、何か吹っ切れたようにセカンドライフを楽しんでいたといいます。だからこそ、母から老人ホームという言葉が出て切るとは意外でした。

――あなたたち(3人の子どもたち)、何かあってもすぐに駆けつけることのできない距離に住んでいるじゃない

――80歳を前に、ふと、一人のときに何かあったらどうしようと不安になることが多くなったの

――そんなときに、ポストに入っていた老人ホームのチラシをみて見学に行ってみたのよ

見学に行ったのは、隣町に出来て間もない老人ホーム。介護を必要としない人でも入居することができ、サークル活動が盛んであることがウリだとうたっていました。

何となく気になって見学を予約。新規オープンというだけあり、施設・設備は真新しく、試食もさせてもらったら美味しくて。うたっている通り、サークル活動が盛んのようで外出も自由。入居者は介護を必要としない人が中心で、万が一、介護が必要になっても、しっかりと対応してくれるところもポイントでした。

――まだ空きはあるんですか?

2室ほど空いているという回答。気になるのは費用。母は毎月16万円ほどの年金をもらっていましたが、プラス毎月5万円ほどで入居できることが分かりました。

――一応、貯金もあるし。家(実家)も売ってしまえば、万が一のことが起きても大丈夫

「家があると相続のとき、あんたたち(3人の子ども)揉めるでしょ。だから今のうちに現金にしておくわ」と言って、自分で決めた老人ホームに母は入居していったといいます。

65歳以上の高齢者の1.1%が「老人ホーム等」で暮らしている

内閣府『令和5年版 高齢社会白書』によると、65歳以上の住まいで最も多いのが「持ち家(一戸建て)」で75.6%。続いて「持ち家(マンション等の集合住宅)」が11.8%。「賃貸住宅(一戸建て)」2.0%、「賃貸住宅(アパート、マンション等)」8.4%。「高齢者向け住宅・施設」は1.1%でした。

これを実際の数値に当てはめてみると、65歳以上人口が3,623万人なので、老人ホーム等に入居しているのは40万人ほど、ということになります。

一方、65歳以上の高齢者に現在の健康状態をたずねたところ、「良くない」と回答したのは24.6%。60代後半で14.8%、70代前半で21.3%、70代後半で24.0%、80歳以上で36.0%と、年齢が高くなるほど、健康状態は「良くない」の回答が多くなっていきます。

年齢を重ねるごとに大きくなる健康不安。そこに「ひとり暮らし」という要素が加われば、誰もが漠然とした不安に襲われるものです。

そこで住まいの選択肢となるのが老人ホーム。介護が必要になったら考える施設という印象が強くありますが、昨今は、自立している人も入れる施設も増加。「セカンドライフを充実させてくれる老人ホーム」として徐々に人気が浸透しています。

女性が入居したのは、住居型有料老人ホームと分類される老人ホーム。自立~介護度の軽い人が対象となる施設で、介護が必要な場合は、基本的に外部のサービスを受けることが前提となっています。施設によって異なりますが、原則的に外出・外泊は自由とされ、特に制約を受けません。

女性の後日談。82歳になった母から、突然、「ホームを出たい。しばらく、家にいさせて(実家はすでに売却済み)」と連絡があったのだとか。

あんなに老人ホームでの生活を楽しんでいたのに……話を聞くと、施設長が変わったことで、ホームの雰囲気がガラリと変わってしまったのだとか。入居者に何かあるわけではありませんが、施設長は自分の部下に対して厳しく、そのせいで退職者が続出。最近は人手が足りないのか、サービスの質も落ちてきているといいます。

――なんか殺伐としていて。もう息が詰まりそうよ

――もう私が好きだったホームじゃないの……

話している途中から涙声になり、声を詰まらせる母。とりあえず女性宅に身を寄せ、新しいホームを探すことにしたといいます。

老人ホームも企業と同じ。トップによって雰囲気が変わったり方針が変わったりして、状況が変わることはことはゼロではありません。また経営母体が変わることで同様のことが起きることも。東京商工リサーチの調査によると、2023年の介護事業所の倒産件数は122件。2022年に次いで2番目に高い水準だといいます。経営企業が倒産した場合、施設は譲渡されることがほとんどで、入居者に不利益が生じることはそうそうありません。ただ雰囲気が変わったり入居費用の値上げが行われたりと、変化が生じることは避けられません。「気に入って入居を決めたホームだったのに……」という後悔も、珍しくはないのです。

[参考資料]

内閣府『令和5年版 高齢社会白書』

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