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40代後半の年収に「150万円」の差…“団塊ジュニア世代”が直面する日本の「残念な現実」【メガバンク出身のコンサルタントが警鐘】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月1日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が止まらない日本。この要因を紐解いていくと、日本人のあいだで加速する驚きの格差と、現在の日本が抱えている“先進国で唯一”といえるほどの大問題がみえてきました。メガバンク出身のコンサルタントで『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏が解説します。

日本の少子化が止められない原因は「出生意欲の低下」だった!?

「2022年の出生数は80万人を割り、わずか7年で20%以上減少する危機的な状況だ」と警鐘を鳴らしている話題の本があります。日本総合研究所調査部・上席主任研究員の藤波匠氏が書いた『なぜ少子化は止められないのか』(日経プレミアシリーズ)という本です。

これまで日本の少子化が進む原因は、若者のライフスタイルが変化し、晩婚化・非婚化が進んだことが主な原因とされてきました。ところが、2016年以降に出生数の減少スピードは急加速を始めて、年率1%程度だった減少率が年率3.7%にもなっています。そしてその原因は、晩婚化・非婚化ではとても説明できないと言います。

2000年から15年かけて、日本の出生数は20万人減少して100万人となりました。それが、2016年からわずか7年で20万人以上減少して、ついに80万人を割り込む事態となったのです。

もちろん、新型コロナ感染症の影響が大きかったことは間違いありませんが、実は感染症が発生する4年も前の2016年から、出生数の大幅な減少は始まっていました。いったいその原因は何だったのか。

実は、若い世代の賃金が上がらず10歳上の世代と比べて、同じ年齢時の年収で比較すると150万円も少ないことがその背景にあることがわかりました。

具体的には、著者の藤波氏が属するバブル世代(1963〜67年生まれ)に比べて、10歳若い団塊ジュニア世代(1973〜77年生まれ)は、40代後半の実質年収が150万円ほど少ない、と同書では分析しています(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」および総務省「消費者物価指数」より)。

そして、「子育て世代にとって、年収の150万円という数字は大きな金額です。ここまで下がってくると、やはり結婚相手となる女性の収入は気にかかりますし、たとえ結婚しても、子どもの数を抑えようという発想になっても不思議ではありません」と同書では指摘しています。

つまり、「出生意欲の低下」が出生数の低下に大きな影響を与えている、ということです。

実際に、早い時期から少子化対策に取り組み、しっかり予算付けをした国々でさえも、経済環境の悪化によって出生率が低下しているフランスやフィンランドの事例もあります(同書)。

“安すぎる国・ニッポン”で加速する「経済格差」の実態

ジャーナリストの小林美希氏が2022年11月に出版して話題になった『年収443万円安すぎる国の絶望的な生活』(講談社現代新書)では、平均年収443万円、平均年齢46.9歳という「民間給与実態統計調査」(2021年、国税庁)の公表数字の年齢は、ちょうど就職氷河期世代と重なるそうです。

年収の平均は443万円ですが、実は二極化が加速していると言います。正社員の平均年収は508万円、正社員以外は198万円なのです。

443万円という平均年収は、2008年のリーマンショック以降、ほとんど上がっていない水準なのに、「そんなにもらっていない」という声が多いのは、正社員以外の働き方をする労働者がどんどん増えて、二極化が加速しているためでしょう。

直近7年間の動向から見ても、日本の少子化、人口減少のトレンドは、とどまるどころかさらに加速する可能性が高く、年金財政はこれまでの予測を超える厳しい状況になっていくのは確実だと思います。

日本の平均賃金の低迷は、「失われた20年」「失われた30年」などと言われていますが、それはあくまで「平均賃金」の話。これだけ長期間、平均賃金が上がらないのは先進国では唯一日本だけで大問題なわけですが、実はその間に労働人口の高齢化が進んでいるのです。

「労働人口が全体として高齢化しているのに、平均賃金が変わらない」というのはどういうことかというと、「同じ年齢の賃金は減少している」ということです。

実際に、団塊ジュニア世代は40代後半の実質年収が、10年上のバブル世代に比べて150万円も少ないのです。この数字は驚きでした。40代後半から50代前半という、教育費の負担が最も重くのしかかる大事な時期は、本来は年収が高くなっていくべきタイミングなのです。

そのタイミングで「年収が150万円も少ない」というのはとてつもないインパクトで、子どもを持つことを躊躇しても不思議ではありません。そして、実際にその下の世代の行動がそうなったために、2016年から出生数の減少が急加速したのです。

この団塊ジュニア世代がいよいよ50代に入り始めました。今後、名目賃金は上がっていくにしても、果たして物価上昇分を考慮した実質賃金まで上がっていくでしょうか? そこまで上がるのは難しいと私は予測しています。

であれば、もう「副業」によって自らの収入を増やしていくしか対抗策はないのではと思うのです。

大杉 潤 経営コンサルタント/ビジネス書作家/研修講師

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