プラモの達人お墨付き!作るのが楽しい最新プラモデル5選【達人のプラモ術<番外編>】
&GP / 2025年1月11日 7時0分
プラモの達人お墨付き!作るのが楽しい最新プラモデル5選【達人のプラモ術<番外編>】
【達人のプラモ術】
■SFメカ三昧だった達人の2024年
あけましておめでとうございます! 2025年も「達人のプラモ術」をよろしくお願い致します!
2024年も沢山プラモデルを作りました。「達人のプラモ術」連載で製作した作品とは別に作ったものと言えば、SF系のガレージキットが多かったです。
『エイリアン』の宇宙貨物船“ノストロモ号”、TVドラマ『謎の円盤UFO』に登場する地球防衛組織シャドウの“スカイ1”(海中で潜水艦と分離して水中から発進する戦闘機)、映画『宇宙戦争』で登場する火星人のメカ“マーシャンウォーマシン”。昨年末からも映画『ミクロの決死圏』に登場した“潜水艇プロテウス号”(人体内部で活躍)を作っているし…いやホントにSFメカしか作っていませんねぇ。
あと昨年発売された『2001年宇宙の旅』の“宇宙ステーションⅤ”(「プラモの達人が気になった2024年発売のキャラクター系プラモデル6選」でも紹介)も作りたいし…。2025年もSFメカ、マイブームはまだまだ続きそうです。
▲映画『エイリアン』に登場するノストロモ号のレジンキット
▲サンダーバードでお馴染み、ジェリーアンダーソンが手掛けたTVドラマ『謎の円盤UFO』に登場するスカイ1(レジンキット)
TM and c ITC Entertainment Group limited 1969 and 2014. Licensed by ITV Ventures limited. All rights reserved.
■地上波でプラモデルテーマの番組が放映される
2025年も国内メーカー、海外メーカーともに新製品ラッシュが続くこともあって目が離せません。
また1月2日にはテレビ東京系で『新春プラモ放談 2025~新年開けましてプラモデル~』が放映されました。2022年に放映され、人気を集めたTVドラマ『量産型リコ』に出演した与田祐希(乃木坂46)と田中要次が登場。
そしてアニメ『ガンダムビルドファイターズ』に声優として出演し、そのほか大河ドラマ『光る君へ』で主演をつとめた本郷奏多、プラモデル好きYouTubeクリエイターのてつやと虫眼鏡などが出演。プラモデルを製作しながら、今さら聞けないお互いのことやプラモデルへの偏愛を語るという番組でした。
番組を見てプラモデルを作ってみたくなった視聴者も多かったようです。
■2025年達人オススメキット5選
地上波でプラモデルをテーマにした特番が放映されるなど、注目を集めているのは、多くの人にプラモデルの楽しさを知ってもらいたいと思っているモデラーとしては嬉しい限り。好きなモデルを好きなように作る! それがプラモデルの楽しみ方ということで、達人としては2025年は大好物のSF系モデルのみならずスケールモデルから目が離せません。
というワケで「達人のプラモ術」新春第1弾コラムとして、今回も達人オススメ(これは作りたい…と思うと同時にマニアックな)最新キットを紹介していきましょう!
1. 世界一過酷なオフロードレースの名を冠したランドスポーツバイクをプラモで楽しむ
【これは欲しい度】★★★★☆
ハセガワ
「ホンダ XLR BAJA(MD22)(1991)」(3960円)
※発売中
達人は以前バイク乗りでした(以前と書いたのは、寄る年波には勝てずバイクを手放してしまったから)ので。また80年代にはバイク雑誌を編集していたりと実はバイクとは縁が深いのであります。
以前「達人のプラモ術」でもハセガワの「1/12 ヤマハ TZR250」を紹介しています。TZR250は1980年代バイクブームの先駆けになった2ストロークスポーツでした。街中にはレーサーレプリカマシンが溢れ、鈴鹿サーキットで開催された8時間耐久レースには15万人が集まるなど、ともかく’80年代のバイクブームは凄かった。
現在、バイクプラモと言えば、タミヤそしてハセガワです。特にハセガワでは’80年代のバイクブームのころの市販車を積極的にキット化しています。そのハセガワが昨年12月に発売したのがホンダ「XLR BAJA(バハ)」です。
1985年発売の「XLR250R」をベースに、当時市販バイクではほとんど見られなかった大型2灯ヘッドライト、そして後輪はディスクブレーキが奢られていました。 オフロード走行での機能と装備をより充実させたモデルとして1987年に発売されたランドスポーツバイクです。
当時知人が新車で購入、何度か借りて乗ったことがありますが、オフロード走行が最高に楽しいバイクでした。
今回ハセガワは、足回りを熟成し悪路走破性を向上させた1991年式の「XLR BAJA」を、徹底した実車取材をもとに完全新金型でモデル化。ちなみにBAJA(バハ)とはアメリカのカルフォルニア・バハで開催されていた世界で最も過酷なオフロードレース「BAJA」の名を冠したものです。
▲実車取材をもとに完全新金型でXLR BAJAの特徴的なスタイルを再現
▲空冷短気筒249㏄のエンジンのディテールも完全再現。シリンダーブロックとシリンダーヘッドにスライド金型を使用。シリンダーヘッドに刻まれた(RFVC)の刻印も正確に再現している
2. 世界初の全金属製旅客機に昂ぶる!
【これは欲しい度】★★★★★
ミニアート(プラッツ扱い)
「1/48 ユンカースF13 初期生産型」(1万780円)
※1月発売
SFモデルばかり作ってはいますが、達人としてはやはり飛行機モデルは外せません。ユンカース F.13(Junkers F.13)は、第一次世界大戦の終わりにドイツで開発された世界初の全金属製旅客機です。
旅客機とは言っても1919年に作られた航空機。パイロットは半解放式の操縦席に乗り込み、乗客定員は4名でした。それでも胴体側面に窓とドアが設けてあり、密閉されたキャビンは暖房も装備。そして当時としては珍しい乗客用のシートベルトも備えられていたそうです。
プラモデルとしてはRevell社が1/72でプラモデル化していましたが、1/48スケールでは初のプラモデル化です。
このユンカースF.13が面白いのは、まだ大抵の飛行機が木と羽布張りで作られていて時代に、機体に強度を持たせるためにユンカース独特の波形ジュラルミン製応力外皮で機体が作られていたこと(波形ジュラルミン製応力外皮って何だろうとお思いでしょうが、分かりやすいイメージとしては波板のトタンみたいなものです)。
翼も先進的な片持ち式単葉機で、当時なんと300機以上が生産され、ルフトハンザ航空をはじめ23か国(日本も含む)の民間航空路において約20年間にわたり使われた旅客機でした。1920年代の最新鋭エアライナーだったんですね。
いやカッコいいです! これは作りたい!
今回、ユンカースF.13キット化してくれたミニアート(MiniArt)社はウクライナの模型メーカーで、日本でも馴染み深いメーカーでもありAFVをはじめ多くのプラモデルをリリースしているメーカーです。中身は良くも悪くもマニアックですけどね。
▲初の全金属製旅客機を1/48でモデル化。半開放式のコクピット、座席など細部まで再現されたキャビン、機首には初期生産型に載まれていたBMW IIIa 水冷直列エンジンエンジンも再現されている
3. 古き良き時代の旅客機プラモデル第2弾!
【これは欲しい度】★★★★☆
アーモリー
「1/48 デ・ハビランド DH.89ドラゴン・ラピード」(1万6390円)
※発売中
▲1/48スケールインジェクションモデルとして史上初の立体化
DH.89ドラゴン・ラピードはイギリスのデ・ハビランド社が開発した双発輸送機ですが、主に近距離旅客機として運用されていました。初飛行が1934年なので、先に紹介のユンカースF13よりもちょっと後の時代のエアライナーとなりますね。
機体はベニヤ板使用の木製で、複葉の翼は羽布張り、スパッツ付きの固定脚とエンジンカバーが一体になったナセルという特徴的なスタイルが目を引きます。乗員は1名、乗客8名を乗せることができました。
1919年に作られたユンカースF-13は単葉の全金属製機体でしたが、DH.89の機体は複葉で木製羽布張り。第一次大戦と第二次大戦の間に作られた機体らしい華麗なフォルムですが、操縦性に優れていたこともあり、当時商業的に最も成功した機体だったそうです。
この美しい複葉の旅客機“ドラゴン・ラピード”もこれまでプラモデルには恵まれておらず、今回ウクライナの模型メーカー、アーモリー(Armory Models Group)が1/48でキット化してくれたのは感涙ものです(ちょっとお高いですが…)。
キットはかなりマニアック。パーツはバラバラで組み上げるのに苦労させられるし、細部はエッチングパーツが奢られているけれど、正直細かすぎて製作中にウキーッ!とキレること請け合いです。それでも古き良き時代の美しく華麗な複葉の旅客機DH.89ドラゴン・ラピードはぜひ作りたいプラモデルとしてオススメしちゃいます。
▲全長が10.5 m、翼幅は14.6 mと旅客機としてはかなり小型な機体。最高速度253km/hで920Km飛ぶことができた
▲キットにはイギリスのレールウェイ・エア・サービス所属機の5種のマーキングとエッチングパーツが付属している
4. ホバークラフトは男のロマン!1/35では初のスケールモデル化された米海軍PACV
【これは欲しい度】★★★★★
ゲッコーモデル(Gecko Models)
「1/35 米海軍 エアクッション パトロールボート(PACV) 後期型」(2万2055円)
※発売中
プラモデル(スケールモデル)ではありそうでなかったホバークラフト。英国のエアフィックスが1/72と1/144スケールでキット化していましたが、1960年代の発売で今やビンテージプラモデルとなっています。以降、スケールモデルとしてはほとんどキット化されることがありませんでした。
そして昨年、ゲッコーモデルがやってくれました! 1/35スケールでアメリカ海軍がベトナム戦争に投入したPatrol Air Cushion Vehicle(=PACV)をモデル化してくれたのです。
PACVは水陸両用の新兵器として数隻を実戦に試験投入した河川哨戒艇です。水深の浅いメコンデルタなどの浅い湿地帯で特に有効であり、そのスピードと機動性、優れた火力により、哨戒だけでなく他の船の護衛や偵察、重火器の輸送、歩兵の直接火力支援などに使用されました。1250馬力のガスタービンエンジンを載んで最高速度90km/hで陸上も水上も走破するPACV。プラモデルとしてこれほど魅力的なアイテムはないですね。
ゲッコーモデル(Gecko Models)はあまり馴染みのない名ですが、香港を拠点にミリタリーモデルを販売している新進メーカーです。
キットはAFVモデルのスタンダードサイズの1/35スケールでキット化。 キット化されるという発表以降、発売前から国内外で話題になっていたキットです。
サイズもデカくて迫力満点だしディテールの再現も文句なし!
そしてやはりホバークラフトのジオラマにしたくなります。というワケですでに購入しちゃいました!
ミリタリー派のモデラーにはオススメ×2のモデルですよ。
▲ホバー部分のシャークティースのマーキング(デカールが付属)が最高
▲完成すると30センチ近い迫力サイズながら細部まで特徴的なディテールが再現されている
▲キャビンのシートベルトなどはエッチングパーツで再現。また一部に3Dプリンタ製パーツも奢られている
▲1960年代にエアフィックスから発売されていたホバークラフトのプラモデル。現在でも入手可能だが、中身は古き良き時代のビンテージプラモデル
5. 2025年もやはり外せません!ユニバーサルムービーモンスター!
【これは欲しい度】★★★★☆
エクスプラス(X-PLUS)
「1/8 フランケンシュタインの花嫁 生命創造の実験の末に蘇った美しき花嫁“ブライド”」(8800円)
※発売中
Elsa Lanchester’s likeness is licensed by the Motion Picture and Television Fund. The Bride of Frankenstein c Universal City Studios LLC. All Rights Reserved.
アビエーションモデルもいいのですが、達人的にやっぱり外せないのが、往年のユニバーサルのSF映画に登場するユニバーサルモンスターであります。以前同じエクスプラスから発売された1/8スケールのベラ・ルゴシのドラキュラも紹介(「第61回全日本模型ホビーショーで発見!プラモの達人が「作りたい」と思った最新キット7選」)しましたが、今回フランケンシュタインの花嫁が同社から発売されました(感涙)。
1931年公開の映画『フランケンシュタインの怪物』に登場する、ボリス・カーロフ演じるフランケンシュタインも魅力的なのですが、続編となる1935年公開の『フランケンシュタインの花嫁』で生命創造の実験の末に生み出された美しき花嫁“ブライド”も十分魅力的。
キットはエルザ・ランチェスター演じるブライドの美しい顔立ちや特徴的なヘアスタイル、白髪のハイライトはもちろん、伸ばした指の先端まで繊細に再現立体化。また、ドレス姿と包帯姿のフィギュアを楽しむことができるので塗装を×2で楽しめます。
同社のキットは組みやすさを重視したジオラマ風モデルとなっており、この手のモデルを作ったことがない人でも楽しめます。
▲ユニバーサル映画『フランケンシュタインの花嫁』劇場公開当時のポスター
▲キットは完成するとドレスを纏ったブライドが約21.5cm、包帯姿が約20.6cm、台座から寝台まで約25cmと迫力満点のサイズ
▲リアルな手術台をはじめ、フラスコや電極など、雰囲気たっぷりの小道具も再現された展示ベースが付属する
▲エクスプラス「1/8 ベラ・ルゴシ as ドラキュラ」ドラキュラ伯爵といったらこれ!こちらも捨てがたい
(C) Universal City Studios LLC. All Rights Reserved. Bela Lugosi (TM) and Bela Lugosi as Dracula (TM) (C) 2024 Lugosi Enterprises
>> [連載]達人のプラモ術
<文/長谷川迷人>
長谷川迷人|東京都出身。モーターサイクル専門誌や一般趣味雑誌、模型誌の編集者を経て、模型製作のプロフェッショナルへ。プラモデル製作講座の講師を務めるほか、雑誌やメディア向けの作例製作や原稿執筆を手がける。趣味はバイクとプラモデル作りという根っからの模型人。YouTube「
モデルアート公式チャンネル」などでもレビューを配信中。
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