世界が認める〈シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー〉!ブドウ畑で地域・自然・未来を考える
Hanako.tokyo / 2021年11月14日 12時0分
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足! 毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第49回は、編集者として活躍する藤田華子さんが、長野県上田市にある〈シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー〉へ行ってきました。
〈シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー〉。
ワイン好きな皆さん!東京から電車で2時間程度で行けるワイナリーをご存知ですか?目前に広がるブドウ畑が美しい、〈シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー〉です。ここは日本では珍しくブドウ畑とワイナリーが隣接した施設で、“地域、自然、未来との共生”を大切にしながら世界的に評価される日本ワイン造りが行われています。想いをワイナリー長の小林弘憲さんに伺ってきました。美味しいワインを飲むことが、地域と自然と未来のためになるなんて素敵!
ブドウ畑で、地域と自然と未来を見据えて
この畑で作ったブドウを使ったワイン。
ブドウ畑を見ながらテイスティングできます!
ーー見渡す限りのブドウ畑を臨みながら試飲させていただきました。美味しさもひとしおです!
「そうなんです。360度ブドウ畑に囲まれていて、このロケーションは地域にとっても私たちにとっても財産ですね。東京ドーム6個分、約30ヘクタールの広さがあります」。
見渡す限りのブドウ畑。
たわわに実っていました!
ーー東京ドーム6個分!いまは収穫期ですが、そんな広大な土地にあるブドウ、どうやって収穫するんですか?
「実はこのワイナリーは、“地域と自然と未来との共生”をキーワードにしていて。我々スタッフだけではこの広い土地を管理するのは大変なので、地元の方にボランティアでお手伝いいただいているんです。4月には地域の方と一緒にブドウの苗木を植える植樹をして、夏になると栽培の管理をして。最近は農福連携事業として、障がいがある方の就労支援や、シルバー人材の就労先にもなっています。他にも、食育活動の一環として小学生と一緒に敷地の一角でジャガイモを作っています。ジャガイモの収穫が終わると、地元の皆様が蕎麦を栽培します」。
ーーまさに「地域と未来との共生」ですね!
「そうです。長野大学には環境ツーリズム学部があって、季節ごとに開催している椀子マルシェでブースを出していただき、カリキュラムに組み込んでもらっています。幼稚園の遠足からご高齢の方まで、このブドウ畑とワイナリーを学びの場、交流の場にしてもらえればと思っています。地元の小学校では環境学習として、ブドウ畑の生き物の生態系についての授業も行われていますよ」。
ーーちなみにここは、もともとはどんな場所だったのですか?
「以前は、養蚕のための桑畑でしたが、養蚕業も徐々に減少し、遊休荒廃地になっていたと聞いています。そこを、我々がブドウ畑として使いたいとお願いしました。行政も、企業に貸し出すことでなるべく早く整備してもらいたかったと思うんです。150名以上もの地権者の方が土地を貸してくださいました。土地を貸すことに多少の不安はあったかもしれませんが、地権者の方も徐々に信頼してくださって、今では『きれいなブドウ畑になったね』と言っていただいています。全国から遊休荒廃地の活用方法を検討している方々が見学にいらっしゃることもありますよ」。
ーー今はこんなに自然豊かなのに、畑になる前は荒廃していたなんて想像できないです!私は昆虫を通して環境問題を考えることに興味があるんですけど、こちらには、様々な種類の昆虫がいるのだとか?
「僕らはこのブドウ畑の景観を維持していくことが、地元の方との約束です。私たちは、垣根をつくるようにブドウの樹を育てる『垣根栽培』という方法でブドウを栽培しています。下草を刈り、ブドウの樹を育てることで草花もブドウの樹とともに生い茂ります。その結果、生態系を調査していただいている先生方からは、「年々、植物や昆虫の種類が増えていて、その中には絶滅危惧種の植物も含まれています」と伺っています。美しい景観を守ることが生態系の維持にも繋がる、いいサイクルなんだなと実感しました。まさしく“自然との共生”です」。
小林さん「自分たちが無理をしないで、地元の皆さんと約束したことをやっていく」。
ーー“地域と自然と未来”3つの共生を掲げるに至ったのはなぜですか?
「自ずと出てきたワードなんですよ。地元の方から賃借させてもらった場所なので“地域”。荒れていた地を整える“自然”。次世代の子どもたちに伝える“未来”。前に一人の女性がワイナリーツアーで『私10年前あそこでジャガイモ作っていたんです』って言ってくれて。大学生になってお酒を飲めるようになって、ここに立ち寄ってくれたそうです。嬉しかったですね。サステナブルを考えたとき、自分たちが無理をしないで、地元の皆さんと約束したことをやっていこうと。そして、自然と循環していく。普段の活動の延長でそれが叶えられればと思いました」。
ーー2年連続で、世界最高のワイナリーを選出する「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」TOP50に選出されたのは、そういう点も評価されてでしょうか?
「『ワールド・ベスト・ヴィンヤード』は、優れたワインツーリズムに取り組み、ワインに関連する素晴らしい体験を提供できるワイナリーを選出しています。たとえば、ワインの生産だけでなく、醸造所やぶどう畑の見学や、ワインのテイスティングなどができるワイナリーツアーを実施しているか、そして素晴らしい景色やレストラン、滞在場所を兼ね備えるなどです。〈シャトー・メルシャン〉は、『日本を世界の銘醸地に』というブランドヴィジョンを掲げています。椀子ワイナリーを、日本国内外の方に評価いただいたことは、『日本ワイン』というものを世界の人にもっと知ってもらう意味でも大きなことだと思っています。
それに、上田市には、上田城や温泉など他にも財産がいっぱいありますから、上田市全体を盛んにできるようにツーリズムができたらいいなと思います。地域で点を面にして、上田市でいろんな観光地を作る。そういうことができたら楽しいですよね」。
目指すのは「日本庭園のような味わい」
ーーここで作られるワインの特徴は?
「私たちは“日本庭園のようなワイン”と呼んでいます。世界的に有名な造り手さんと話したとき、『このワインのヒントは日本庭園にあると思います』と言われたんです。日本庭園って、ベルサイユ宮殿や凱旋門みたいにドーンとした華やかさはありませんが、枯山水や借景などがあってちゃんと調和が取れている。何一つ欠けることがなく緻密なんです。そのヒントを得て、ブドウの素材を生かした、調和のとれた味わいにたどり着きました」。
ーーシラーやメルローなど、世界中で作られるブドウでも気候や作り方によって日本の味わいになるんですね。ちなみに、〈シャトー・メルシャン〉のワインを飲む際にオススメの食事は?
「ここのブドウは他の産地より粒が小さいんです。強い粘土質の土壌と雨が少ないことで、水分のストレスがかかるからだと思っています。粒が小さいので皮や種の比率が高く、日本の中では比較的力強いワインができます。なので、少しパンチの効いたものを合わせるといいですよ。特にシラーという品種が有名で、スパイシーな香りが特徴ですから、スパイスの効いた料理が合うと思いますよ。例えば、美味だれ焼き鳥(上田市の名物で、ニンニクだれが効いているそう)とか、うなぎに山椒をかけて合わせるのも面白いと思います。白でしたら柑橘の香りが強いソーヴィニヨン・ブランというワインがあるので、カボスやスダチをかけたお刺身が良いと思います」。
小ぶりな粒が、力強いワインに。
収穫されたブドウは、すぐにワイナリーに運ばれます。
ブドウの選別は手作業で。スタッフさんは大家族のように和気藹々。
繊細に大切に造られるワイン。スタッフの方はそれぞれお気に入りの樽があるそう。
ーーお、美味しそうすぎます…。友人や家族と家でワインを飲むときに、〈シャトー・メルシャン〉の取り組みや背景を話して舌鼓を打てるなんて、最高ですね。
「ぜひ、話してください!私たちは3つの共生をコンセプトにCSV(※creating shared value:社会と共有できる価値の創造)を実践していますが、それらは“共生”という言葉の通り、地域や自然や未来との相互関係だと私は思っています」。
ーーワインメーカーだからこそできる社会貢献ですね。最後に、SDGsに関して、興味があるけど何から始めていいかわからないという方へメッセージをお願いします。
「私たちは、環境への取り組みとして、一部、循環型農業となるように、雨水は貯めて農業用水として使用したり、ブドウの皮や種などの残渣は、堆肥化して畑に戻したりしています。そんな背景を知っていただきつつ、まずは是非ワイナリーに来て、この素晴らしい風景を見ながらワインを楽しんでいただきたいですね」。
取材を通して感じたのは、想いのあるワインには、こだわりの美味しさが宿るということ。小林ワイナリー長が、「この10~15年の間で収穫の時期が数日早くなり、ブドウ畑でも地球温暖化の影響を実感している」と仰っていたことからも、身近なものの裏側にも気候変動は迫っていると改めて実感しました。
〈シャトー・メルシャン〉の3つの共生は、様々なセクターのパートナーシップでサステナブルな社会を目指すSDGsとも共通点があるように思え、こういったものづくりの背景を知りながら私たち一人一人が消費者として選択していくことの積み重ねの重要性を改めて感じ、背筋が伸びました。
〈シャトー・メルシャン 椀子ワイナリー〉
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