蛙亭イワクラ「東京には6月に行くといいでしょう 」| 連載【即断すぎて周りがとめる】 vol.4
Hanako.tokyo / 2024年3月12日 19時0分
蛙亭イワクラさんは一見おっとりしているようだが、実は意志が強く、即断即決の人(早すぎて周りが「ちょっと待って、一回考えよう」と止めることもあるそう)。でも「イワクラを見ると周りが何かしてあげたくなる」ようなほっとけなさもある。「お笑いが人生を楽にしてくれた、自由にしてくれた」という彼女が見てきた景色、最近思うことについて少しずつ話してもらう連載です。
イラストはコンビの相方、中野周平さんが担当。
お笑い芸人/NSC大阪校34期出身。同期の中野周平との男女コンビ、蛙亭を2012年に結成。キングオブコント2021、2023ファイナリスト。
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わたしにとって「占い」は心のマッサージ。
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占いがめっちゃ好きなんです。「しいたけ占い」は毎週欠かさずチェックしてるし、何か大事なことを決めなくちゃいけないときに、占い師さんにアドバイスをもらったりもするんです。ただ、めっちゃ好きといっても盲信してるわけでもなければ、それにお金を注ぎ込んでるわけでもなくて。自分の都合のいいように解釈する、ということが多いかもしれません。
大阪にいたときに、アポロン山崎さんに仕事運を占ってもらったことがあるんです。アポロンさんは手相とか算命学とかオラクルカードなどを使う占い芸人。当時わたしは26〜27歳ぐらいだったんですが、「30になったら毒舌で売れるよ」って言われたんです。そのとき「え、毒舌?」って。わたしは毒舌漫才をしてるわけでもなければ、毒舌キャラでもなかったから、アポロンさんの話を意外に思ったんです。まあ、多少口が悪いかな、くらいには思ってたけれど、「売れるよ、それで」って言われて、「えー、ホントに?」って。で、相方に強めにツッコむ漫才をやるようになってから仕事が増えてきて、それが30になったころ。アポロンさんに言われたからそうするようになったわけでもなく、気付いたらそんなふうになっていたんです。うわ、アポロンさんの言ってたことが当たったかも、って。めっちゃ毒舌キャラではないですけどね。
占い芸人といえば、後輩でターザン(現・永福庵)っていう占い芸人もいるんです。彼はタロット占いが専門。恋愛運とかをよくみてもらってたんですが、東京に行くときにも相談しました。2019年の冬のこと。「来年、東京へ行こうと考えてるんだけど」って。大阪でお笑いの賞を獲ってから東京へ行くか、東京へ行ってから獲るか、「どっちがいいかな?」って聞いたら、「もう全然行っちゃっていいと思います」って。で、「どの月に行ったらいい?」って聞くと、「6月がいいですね」って。当時わたしは、春か秋、4月か10月に東京へ行くのが吉本のルールだと思い込んでいて(そんな決まりは存在しないのに)、「6月はあり得ないのよ」って言うと、「うーん、でも、6月って出てるんですよね」って。でもどうしても行きたいという思いがあったから、4月に行っちゃおうと決心して、ターザンに「4月に行くことにしちゃったんだけど」って言ったら、「占いは占いでしかないんで全然大丈夫です」って。で、2020年4月、東京へ引っ越しました。するとすぐに緊急事態宣言が出て、劇場も閉まり、なにもすることなくなっちゃったんです。で、ようやく仕事が始まり出したのが6月。そこからは仕事が止まらない。「うわ、ターザンが言ってた通りだ!」って。シビれました。
以降、ターザンには引越をするときなんかも方角とかを見てもらうようにしているんです。でも、「この方角がいいよ」というその辺にいい家がなかったら違う家に住むだけ。左右されてるわけじゃなく、自分にできることだったらやる、そういう感じ。迷いを振り切るきっかけになるというか、考えを整理するための指針にするというか。気分を一新するためにネイルや美容室、マッサージに行くのと同じ感覚かもしれません。
心のマッサージといえば、「MITSURI占い」の法演(ほうえん)さん。彼女とはテレビ番組で一緒になってから仲良くさせてもらっているんですが、すごく面白くて。MITSURIは生年月日や出生地などから12種類の「暴露数」というのを導き出すという法演さんがあみ出したオリジナルの占い。自分しか知らないようなことをズバズバと言い当てられたりするし、なにより、気分を前向きにさせてくれるので気持ちがすごくスッキリするんです。
そして、法演さんはこんなことを言ってました。「占いを信じない人は自分で全部ものごとを決められる人だから、それはそれでいいと思う」って。わたしは優柔不断だから、すぐに聞いてしまう。でも、自分が思ってることと逆のことを言われたら、結局、自分が思う方向へ、気に入った方へ行くんです。たぶん、その方向が合ってるよと、背中を押してもらいたいから聞きたくなるんでしょうね。
大阪時代、アポロン山崎さんに「30になったら毒舌で売れるよ」と言われたイワクラさん。それまで毒舌キャラでもなかったのに、相方に強めにツッコむようになったのが30歳のころだったそう。そう言われたからそうしたわけではなかったけれど、結果導かれていたのかも、とイワクラさん。
illustration_Shuhei Nakano(kaerutei) edit_Izumi Karashima外部リンク
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