「それでは、Enjoy!」坂本龍一さんが語った最後のメッセージ『Ryuichi Sakamoto | Opus』コメント映像到着
クランクイン! / 2024年3月28日 9時0分
2023年に逝去した音楽家の坂本龍一さんの最後のピアノ・ソロ演奏を記録した長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』より、坂本さんの一周忌である本日3月28日、収録場所で撮影した坂本さんのコメント映像と、監督の空音央、撮影のビル・キルスタイン、編集の川上拓也、録音・整音のZAKからのコメントが到着した。
世界的音楽家、坂本龍一さん。1978年のデビュー以降“教授”の愛称で親しまれ、2023年3月に永眠するまで数々のアーティストに影響を与え、音楽シーンを牽引、精力的に国内外での活動を展開してきた。
本作は、2年以上となる闘病生活を続けていた坂本さんが、最後の力を振り絞り演奏する姿を収めた最初で最後のソロ・ピアノコンサート映画。撮影で使用したのは、2000年に坂本さんのためにカスタムメイドされ、長年コンサートやレコーディングで愛用したヤマハのグランドピアノのみ。名曲「Merry Christmas Mr. Lawrence」、坂本さんの最後のアルバム「12」からの曲、そして初めてピアノ・ソロで演奏されたYMO時代の「Tong Poo」まで、自身が選曲した20曲で構成されている。
ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア上映以降、ニューヨーク、山形、東京を始めとする世界中の映画祭で絶賛され、すでに28ヵ国もの国と地域での公開が決定(3月25日時点)。海外メディアからは「坂本龍一の音楽的キャリアの広さと深さの全てを完璧に表現している」(variety)、「これは坂本龍一からの贈り物だ」(The New York Times)、「1台のピアノ演奏から生まれるあらゆる音の響きや息遣い、モノクロームで演出された光の変化、丁寧なカメラワーク、そして映し出される世界的音楽家。これは言葉のない心を揺さぶられるドラマである」(The Hollywood Reporter)と、多くの賞賛を浴びている。
坂本さんの一周忌である本日3月28日、坂本さん自らが本作について撮影時に語った貴重なコメント映像と、坂本さんが全面的に信頼を寄せた、監督をはじめとするメインスタッフからのコメントが到着。
本作の撮影が行われたのは、坂本さんが亡くなる約半年前の2022年9月。映像で坂本さんは「2020年の6月に癌であることが分かり、表立った活動はしておらず現在も治療を続けています」と自らの状況を告白。そして「かなり体力も落ちてしまって、通常のコンサートは難しいんですよね。今回は1曲ずつここで撮影して編集し、1つのコンサートとして発表することにしました」と、本作を撮影するに至った経緯を語る。
続いて、収録場所となったNHKの509スタジオについて「40年前かな、NHK‐FMの番組を担当していた時に毎週のように来ており、このような大きなスタジオは特別な時にしか使えませんでしたが、(509スタジオは)とっても音が良いんですね。何度も録音したことがありますが、ここを今回特別にお借りすることができました」とコメント。1980年代にNHK‐FM「サウンドストリート」でDJを務めていた当時の話を出しつつ、坂本さんが「日本でいちばん音のいいスタジオ」と評する場所での撮影が実現したことを語った。
最後は、作品を鑑賞する人々に向けて「通常のコンサートのように楽しんで頂けたら。それでは、Enjoy!」と呼びかけて締めくくっている。
本作は、坂本さんが全面的に信頼を寄せた約30名ものスタッフが集い、8日間に渡り撮影が行われた。
監督を務めた空音央は「坂本龍一が意図したコンサートをできるかぎり忠実に映画化するため、本人含めスタッフ一同、全身全霊でOpusを作り上げました」と振り返り、「ウトウトしたら音楽に揺さぶられながら寝ちゃうのも一興。本物のコンサートのつもりで音に身を預け、体験していただければ、(坂本龍一)本人も嬉しかったんじゃないかと思います」と、作品の楽しみ方について語った。
撮影を務めたビル・キルスタインは「撮影が始まると、坂本さんの演奏、美しいレコーディング・ホール、入念なサウンド・レコーディングが相まって、まるで大聖堂で撮影しているかのような、あるいは森の中でじっと座っているかのような、独特の雰囲気が生まれました」と、撮影中の神秘的な空間に魅了されたとコメント。
編集を務めた川上拓也は「監督や現場スタッフのみなさんが、それぞれの役割を全うされて、丁寧にとらえた美しい撮影素材をお預かりし、その素材の素晴らしさに常に新鮮な刺激を受けながら、坂本さんが音のひとつひとつと語り合うドキュメンタリー映画ととらえ、編集しました」と、スタッフ&坂本さんへのリスペクトを込めて作業したことを語った。
長らく坂本龍一さんとタッグを組み、本作で整音を務めたZAKは「この音を通して、その創造力、ピアノと一体化した身体、それが空間と調和する美しい生命を見て欲しい」と、坂本龍一さんが全身で奏でる“音”の素晴らしさを強調した。
モノクロの4Kフォーマットカメラ3台を使用、そして坂本さんが絶賛するスタジオで撮影された本作。通常のコンサートでは見ることのできなかった坂本さんの表情、ペダルを踏みこむ音、坂本さんの身体表現と共に奏でられる鍵盤の音や光の揺らめきが詳細に捉えられている。世界的音楽家が放つまるで音に命が宿ったかのような響きや、精鋭スタッフによる映像表現を、ぜひスクリーンで堪能したい。
映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』は、4月26日より109シネマズプレミアム新宿にて先行公開、5月10日より全国公開。
※スタッフコメント全文、『Ryuichi Sakamoto | Opus』セットリストは以下の通り。
<コメント全文、セットリスト>
■空音央(監督)
坂本龍一が意図したコンサートをできるかぎり忠実に映画化するため、本人含めスタッフ一同、全身全霊でOpusを作り上げました。出来上がった映画には物語やセリフはありません。ピアノと身体、音楽と表情だけのコンサート映画です。
ウトウトしたら音楽に揺さぶられながら寝ちゃうのも一興。本物のコンサートのつもりで音に身を預け、体験していただければ、本人も嬉しかったんじゃないかと思います。Enjoy the concert!
■ビル・キルスタイン(撮影)
『Ryuichi Sakamoto | Opus』での私の担当は照明とカメラでした。撮影が始まると、坂本さんの演奏、美しいオーケストラ・レコーディング・ホール、入念なサウンド・レコーディングが相まって、まるで大聖堂で撮影しているかのような、あるいは森の中でじっと座っているかのような、独特の雰囲気が生まれました。
私は常に観察する状態を維持するよう努めようと、坂本さんのライブ・パフォーマンスをスクリーンに収めるために、あらゆる仕草やディテールを記録できるように準備しました。
■川上拓也(編集)
監督や現場スタッフのみなさんが、それぞれの役割を全うされて、丁寧にとらえた美しい撮影素材をお預かりし、その素材の素晴らしさに常に新鮮な刺激を受けながら、坂本さんが音のひとつひとつと語り合うドキュメンタリー映画ととらえ、編集しました。大変光栄であり、純粋に楽しい作業でした。
■ZAK(録音・整音)
この音を通して、その創造力、ピアノと一体化した身体、それが空間と調和する美しい生命を見て欲しい。
■『Ryuichi Sakamoto | Opus』セットリスト
・Lack of Love
・BB
・Andata
・Solitude
・for Johann
・Aubade2020
・Ichimei‐ small happiness
・Mizu no Naka no Bagatelle
・Bibo no Aozora
・Aqua
・Tong Poo
・The Wuthering Heights
・20220302‐sarabande
・The Sheltering Sky
・20180219(w/prepared piano)
・The Last Emperor
・Trioon
・Happy End
・Merry Christmas Mr.Lawrence
・Opus‐ending
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