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チーム意識 1 「なぜ、一体感が生まれないのか」/「指示」「命令」「報告」は諸悪の根源か?/斉藤 秀樹

INSIGHT NOW! / 2015年9月1日 11時0分

写真

斉藤 秀樹 / 株式会社アクションラーニングソリューションズ 一般社団法人日本チームビルディング協会

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◆なぜ、チームとしての一体感が生まれないのか? その原因は?
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これからチーム創りの第一歩となる「チーム意識」についてお話ししていきます。
チームは「チーム意識」を創ることで、個人商店の集まりから一体感や協働ができる
チームへと段階的に変容していきます。

この第一歩がしっかり踏み出せないと下記のようなプロジェクトで起こりがちな現象が
多発することになります。


【個人商店化が改善されないことによる開発プロジェクトで発生する現象】

・自身担当分のみの進捗、品質を重視し、他メンバーへの協力がない。

・自身担当分に直接影響のない課題には、興味がない。

・他メンバーの遅れや品質低下を嫌い、課題発生時に攻撃的になる。


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◆従来型のマネジメントではチームは創れない
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「リーダーとメンバーの関係を図に書いてください」
突然ですが、リーダー研修でこんな投げかけをすることがあります。
リーダーの皆さんは少し考えたのちに、皆同じような図を書き上げます。

【組織図】

          ┏━━━━┓
          ┃リーダー ┃ ……………上 司
          ┗━━━━┛ ↑
             │ 上下関係
       ┌────┼─────┐
┏━━━━┓┏━━━━┓┏━━━━┓ ↓
┃メンバー ┃┃メンバー┃┃メンバー ┃……部 下
┗━━━━┛┗━━━━┛┗━━━━┛


読者の皆さんにも馴染み深い階層構造の組織図です。
この構造は「上司」「部下」という言葉からも明らかなように上下関係によって
構成されたものです。


実のところこれまで当たり前とされてきたこの組織構造が今の時代にそぐわなく
なっているのです。
つまり、この「上下関係を前提に置くとチームは創れない」ということです。

何のことかピンと来ない方も多いかもしれません。


私たちは企業組織のチームビルディングを行う際に、対象部門の皆さんに様々な
インタビューをします。
その一つに「チームは誰ですか?」という漠然とした質問があります。

まず、リーダーにこの質問を投げかけるとメンバーの名前を次々に上げていきます。
同様にメンバーの皆さんにもこの質問を投げかけるとリーダーと同じようにメンバーの
名前を次々に上げていきます。

結果、名前を言い終わるとリーダーの回答にもメンバーの回答にも同じ共通点がある
ことに気づくのです。

それは、リーダーの名前がどちらにも含まれていないのです。


よく「リーダーは孤独だ」という声を耳にしますが、そのはずです。
メンバーもリーダー本人でさえ、チームの一員だという意識が希薄なのです。

このことから階層や上下関係は、リーダーとメンバーの間に心理的な距離を創ることに
気づきます。


次にこのこれまでの日常的なマネジメント手法を考えてみましょう。
皆さんも馴染みの深い「指示」「命令」「報告」「連絡」「相談」です。

これらのマネジメント手法(以降、ツール)は階層構造の組織を円滑に動かすために
編み出されたものです。


このツールは、上位の従えるものが下位の従うものを効率的に動かすために有効です。
このツールを使った組織運営の特徴は、有能な指揮官が部隊(部下)に的確な命令を
与え、瞬時に部隊(部下)がその指示通りに動き、勝利を収める。
単純でスピード重視の組織運営に適したものです。

ただし、この組織運営が機能するためには下記の前提条件があります。

・上司にカリスマ性がある、乃至は部下からの絶大な信頼と人望があること
・部下は私情(自分の考え)を交えず、上司の指示通りに遂行すること

つまり、上司は部下にとって絶対的な存在であることが求められます。


戦国の世のように、このようなツールが機能していた時代も過去にはありました。
しかし、現代社会で何が起こっているか冷静に考えると、このツールだけに頼った
マネジメントの限界が見えてきます。

昨今、組織運営は揺らいでいます。増え続けるパワーハラスメントによる訴訟問題、
うつ病をはじめとするメンタルヘルスの問題による欠勤者の増大。
過度な指示、命令はメンバーに過大なストレスを与え、やらされ感を増大させ、
モチベーションを下げる効果があります。
さらに、メンバーとリーダーの信頼関係が希薄なら、その影響はもっと大きなものに
なります。


精神障害の原因は上司とのトラブルが圧倒的に多く、このようなトラブルが今後、
労働災害として扱われる可能性もあるのです。

上位者から下位者への一方的な指示、命令は、リーダーとメンバーの心理的な距離を
さらに広げていきます。最終的には「部外者」となるのです。
この部外者という言葉は実際にある企業で使われていたものです。
メンバーの仲間内でリーダーは「部外者」と呼ばれていました。

ここまで極端ではないにせよ、リーダーであるあなたはチームの中で部外者になって
いないでしょうか。

(次回、2話に続く)


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