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GoPro「凋落」の理由、華々しいスタートアップの紆余曲折を振り返る 大きな分岐点は8年前に

ITmedia NEWS / 2024年10月2日 12時13分

 GoProはそんな中で、コンシューマーではなくプロ業界に打って出たわけである。

 GoPro開発のエピソードとして、CEOのニック・ウッドマン氏が趣味であるサーフィンの動画を撮りたいからという理由が語られているところだが、300ドルでモニターもないMP4カメラをコンシューマーではなく、プロ業界に持ち込んだ理由は明確であった。それは、壊れても惜しくない値段で、そこそこの絵が撮れるカメラ、というポジションである。

 このメリットに、多くのプロはすぐ気づいた。日本はスペック偏重主義のために様子見であったが、米国ではかなり導入されたようだ。撮影し終わってメモリカードを取り出してみないと、何が撮れているか分からないカメラを使うという強メンタルは、米国の映像業界ならではだろう。

 11年の「HD HERO2」は、マイク入力やHDMI出力が搭載され、HD/120pまで撮影できるように拡張された。ただしまだモニターはない。別売のモニターユニットと合体して、ようやく何を撮っているか分かる。だがこれは米国でさらに大ヒットした。

 この頃にはすでにGoProは、日本のカメラメーカーからも無視できない存在に成長していた。小型で頑丈、広角で激しい動きの撮影に使えるという、新ジャンルを築いたからである。

 12年にはソニーが、初めてのアクションカム「HDR-AS15」をリリースしている。HD解像度でモニターなし、本体に防水防塵機能なし、固定するにはハウジングに入れるといった仕様は、まさにHD HERO2を下敷きにしている。

 だが同年登場したHERO3は、さらに上を行った。ホワイト・シルバー・ブラックという3エディション展開でブラックが最上位であるが、早くも4Kが撮影できた。15fpsでしかなかったが、まだまだ4Kカメラが気軽に買えない時代に、4Kのソースを使って圧縮伝送や放送実験をやりたい日本の企業や大学の研究室で重宝された。ソニーをもってしても3年遅れを喫するというほどの、先進性であった。

 13年には、「HERO3+」というリファインモデルが登場した。4にまでは至らないという改善であったのだろう。当時暗所に弱いという点が指摘されたのを受けて、暗いところでは自動的にfpsを落として画質を上げるという、オートローライト機能を搭載した。また4:3で撮影した映像を、中心部分はそのままに、端の方だけ引き延ばして16:9にするという、妙なモードを搭載した。若干苦し紛れの時期だったのかもしれない。

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