GoPro「凋落」の理由、華々しいスタートアップの紆余曲折を振り返る 大きな分岐点は8年前に
ITmedia NEWS / 2024年10月2日 12時13分
14年には、ソニーが「HDR-AS100」で本体のみで防塵防滴仕様というカメラをリリースしてきた。一方GoProは、同年の「HERO4」で4K/30p撮影を可能にしたほか、初めて本体にタッチパネルを搭載した。ようやく本体だけで、何を撮ってるのか分かるようになったのである。ただしブラックエディションなのに、ボディーカラーはシルバーである。
ソニーがようやくGoProに追い付くのが、15年だ。「FDR-X1000V」で4K化を達成したが、ここまで来るのに3年かかっている。一方GoProは、年末にようやく小型モデル「HERO4 Session」をリリースするが、1年かかって小型化したものの、機能に新規性がなく、失速した。
●運命の2016年
16年は、多くのことがいっぺんに起こった年である。1月にはHERO4 Sessionの失敗を受けて、GoProは初めてのリストラで15%の従業員を解雇している。他に柱となる事業がないので、1つコケると被害が大きいのがベンチャーの弱いところだ。
ソニーは6月に4Kのハイグレードモデル「FDR-X3000」をリリース、ハンディカムで光学レンズを動かして手ブレ補正をするという「空間光学手ブレ補正」をアクションカムに持ち込んだ。電子補正しかない小型カメラの世界に、4Kなど解像度に関係なく手ブレ補正が効くという、技術力でぶん殴ったようなカメラである。ようやく一矢報いたといったところであった。
一方GoProは、同年10月「HERO5 Black」をリリース、ここで初めてボディーが今のようなブラックとなった。また本体のみで防塵防滴仕様となり、そこはソニーを後追いした格好だ。4Kも撮影できたが、4Kでは手ブレ補正が効かないという点で「FDR-X3000」に勝てなかった。同時に小型モデルの「HERO5 Session」も出ているが、それよりもデカい製品が出た。
空撮用ドローン、「GoPro Karma」だ。カメラは別売で、GoProを前方に搭載する。カメラだけではない、別の柱を作ろうというわけである。ところがこのドローンが、1カ月程度でリコールとなった。バッテリー部のカバーの設計が悪く、飛行中にバッテリーの接触が途絶えて墜落するという問題が発覚したのである。
鳴り物入りの新ジャンルが1カ月で失敗したことで、GoProは大きなダメージを負った。16年11月には200人規模でリストラを行い、年明け3月にもおよそ17%の従業員をリストラした。
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