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GoPro「凋落」の理由、華々しいスタートアップの紆余曲折を振り返る 大きな分岐点は8年前に

ITmedia NEWS / 2024年10月2日 12時13分

 頼みのHERO5 Blackは、悪い製品ではなかったが、16年には同様のスペックで中国の有象無象のメーカーが続々とGoProクローンを投入し、市場は荒れた。同年、くしくも後に競合となるInsta360が、初の製品「Insta360 Nano」をリリースしている。iPhoneと合体して使用するカメラである。

 ドローンは、その後も事業の継続を模索したようだ。だが結果的には18年1月にドローン事業から撤退を表明し、CEOのニック・ウッドマン氏からは、カメラ事業継続のためには買収もあり得ることをにおわせる発言もあり、株価は急落した。

 17年に登場した「HERO6 Black」は、4K/60pまでの撮影を可能にした意欲作だった。また4K/30pまでなら手ブレ補正が効く。電子補正で4K処理するというのは、当時の画像処理エンジンとしては画期的な事だった。

●そして戦国時代へ

 18年3月には、毛色の変わった製品がリリースされた。「GoPro Fusion」は、前後にカメラを搭載した、いわゆる360度カメラである。どうせ全方位撮るんだから、ということで、ディスプレイは搭載しない。

 ただ当時としては、360度カメラの参入はかなり遅い。リコーやカシオ、ニコン、そしてInsta360が全天球や半天球カメラに参入したのは16年頃で、ある意味このあたりがピークである。Fusionの発表自体は17年の「HERO6 Black」と同時だったが、発売まで半年かかる製品を先に発表するということは、やはりその年の目玉が欲しかったのだろう。

 ただ360度撮影の考え方が、他社と違っていた。多くのカメラは360度の映像を、見る時に見回すことができるというVR指向で考えていたのに対し、Fusionは全天球を撮影して、最終的には特定の画角に切り出して使うという、ノーファインダー撮影的なスタンスであった。確かにそれはそうなのだが、そうした方向性は当時スタンドアロンカメラ化しはじめていたInsta360と競合した。 ある意味、虎の尾を踏んだ格好である。

 だが18年に登場した「HERO7 Black」は、スポーツ向けカメラとしてGoProは別格、と感じさせたカメラだった。このとき搭載された次世代の電子手ブレ補正「HyperSmooth」が、あり得ないほどのスタビライズ性能をたたき出したのである。この機能によって、中国の粗悪なGoProクローン製品を駆逐すると同時に、日本メーカーも沈黙させた。

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