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シャープがEVを売りたい理由 CTOに聞く、“シャープらしさ”を取り戻すために今考えていること

ITmedia PC USER / 2024年9月12日 15時5分

 開発は継続し、当社のブランド商品を特徴づけることができるのであれば、それはデバイスに埋め込んだ方がいいと判断するものもあるでしょう。デバイス開発は、当社のブランド事業を大きくするというミッションの元に投資することになり、他社の事業を特徴づけするデバイスに投資することはしません。

 かつてはスパイラル戦略という言い方をしていましたが、結果としてデバイスを売るための投資になっていたという反省点はあるにしても、その考え方は残っています。つまり、スパイラル戦略の形も変化することになります。

 今後は、CE-LLMとブランド商品のスパイラルもあるでしょう。また、CE-LLMをLSIに埋め込んだ方がいいと判断すれば、デバイスのスパイラルが生まれるかもしれません。

●AIの利便性を享受できる世界を作る「Act Natural」

―― シャープ独自のエッジAIであるCE-LLMは、2023年のSHARP Tech-Dayで発表されて話題を集めました。この1年でどんな進化を遂げましたか。

種谷 2023年はCE-LLMを発表し、概要をお伝えすることが中心となっていましたが、2024年は一気に「実装」の段階にまで入ってきています。CE-LLMの役割は、より重要性が増していますし、私自身、その手応えを強く感じているところです。2023年はぼんやりしていた部分も、2024年になってかなりクリアになり、視界が晴れ、これからはさまざまなものがローンチできると考えています。

 CE-LLMは、エッジAIならではの特徴を生かした提案ができます。例えば、ユーザーからの問いかけに対し、ChatGPTなどのクラウドAIで答えるのがいいのか、それともローカルLLMなどのエッジAIのどちらで処理するのが最適かを即時に判断し、スムーズで自然な会話のやりとりを実現することができます。

 今のAIでは、会話をしていると返答までに時間がかかることがありますが、その間、利用者はちゃんとした答えが返ってくるのかが不安になります。AIが「そうですね」といったような相づちを打ったり、「今、答えを考えているところです」といった内容を表示したりできるようになれば、利用者は不安にならないですみます。これも、クラウドAIに、エッジAIが組み合わせることによって実現できる機能の1つです。

 さらに、個人に依存するようなプライバシーを守りたい情報はエッジで処理したり、データ量が多いものは一部を切り出してクラウドAIにあげて処理したりすれば、ネットワークへの負荷を削減したり、データセンターでの処理を最小化し、電力を削減したりといった効果にもつながります。

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