[Japan In-depth 編集部]【LGBTの権利と社会的結束】~ザルツブルグ・グローバルセミナー、杉山文野氏に聞く~
Japan In-depth / 2015年8月1日 23時34分
1947年にハーバード大学の卒業生等が立ち上げた「ザルツブルグ・グローバルセミナー」は各国、各界の分野で活躍する30代〜40代の人材を対象に、LGBTに関わるグローバルな課題の解決に向け論議の場を設けている。オーストリア、ザルツブルグのレオポルツクローン宮殿で年に数回開催されるセミナーは、その時の課題に携わるリーダー達が世界各地より集まり、およそ一週間にわたって合宿形式で交流を深め、議論し解決策を模索する。
去る6月14日から6日間に渡って行われたセミナーのテーマは、「LGBTの権利と社会的結束」。今回、日本代表3名のうちの1人、杉山文野氏にセミナーの様子を聞いた。
参加者はヒューマンライツやセクシュアルライツの代表者等、映画監督、フォトグラファーなどといった多様な人材が世界中から招待された。課題解決のための議論をメインにした6日間の共同生活は、多国籍、異文化、異業種の壁を乗り越え、より多くの人とコネクションを作るという大義があったと杉山氏は振り返った。
スピーカーとしてセミナーに招待された経緯について杉山氏は、自分がLGBT活動家であったり、トランスジェンダーであったり、”東京レインボープライド2015年”(注1)の共同代表者であるという理由もさることながら、経営者であり、フェンシング元女子日本代表のアスリートでもある自分の多面性が注目されたからではないかと話した。
2日目のディスカッション・フォーラムに登壇した杉山氏が取り上げたテーマは、「差別による社会的経済への影響」。 自身も飲食店を数店経営する立場から、日々向き合わずにはいられない課題である。LGBTの差別や知識の欠如によりどれだけ社会的に損失があるのかという問題をプレゼンした。
一つ目の問題は、就活時や雇用時の職場での差別や、同僚や雇用側の無知だという。企業が「スタッフを雇用する時に、LGBTを中に入れないということで(良い人材の)雇用の機会を逃している。」また、「折角雇った所で職場環境がLGBTにとって働き安い環境じゃないと、結局離職してしまい、再雇用ということになり、さらにコストがかかる。」と、その負のスパイラスを指摘した。
またインタビューの際、ゲイやレズビアンとトランスジェンダーの就職時の状況の違いについて、「ゲイ、レズビアンの場合は最悪、言わなければ分からない」が、「トランスジェンダーの場合は、見た目が変ったり、戸籍の事があったりするので、言わざるを得ない」という。
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