新型護衛艦「かが」進水、ヘリ空母2隻体制に~対中国海軍に優位、しかし搭載ヘリは不足~
Japan In-depth / 2015年8月27日 14時38分
本日午後、横浜市磯子のJMU横浜造船所において護衛艦「かが」が命名・進水式を迎えた。今年3月に就役した「いずも」型護衛艦2番艦にあたる。進水後は岸壁での艤装に入るが、平成29年3月に完成・就役する見込みである。
「かが」は旧加賀国(現石川県)に由来する名前であり、旧海軍の軍艦加賀を襲名した形である。加賀は当初戦艦として計画され、ワシントン条約によって空母に改装された経歴を持つ。日華事変での日本海軍主力であり、ハワイ攻撃等、太平洋戦争初期での大活躍が知られている。海自はその活躍にあやかろうと艦名を継承するものである。
本艦は実質的にヘリ空母である。海自はDDH(ヘリコプター搭載駆逐艦)として分類している。だが軍艦としては駆逐艦に相当する武器を持つものではない。戦闘能力は搭載ヘリコプターに依存している点で、ヘリ空母である。
その能力もヘリコプター運用、旗艦としての指揮通信能力に焦点が置かれている。進水後の艤装としても、攻撃的武器は自艦防御での最低限に水準に抑えられている。飛来する敵ミサイルを撃ち落とすための小型ミサイルRAMや機関砲CIWSに限定されており、駆逐艦のように積極的に敵潜水艦や航空機に対抗する軍艦ではない。
2年後の本艦就役により、日本は複数のヘリ空母を保有する体勢となるということだ。「いずも」型の2隻体勢、あるいは小さな「ひゅうが」型2隻を足した計4隻体勢となる。
見方によっては、これは中国海軍力に対しての有利でもある。中国海軍は正規空母であるものの、実質は試験用の空母を1隻しか持たない。一品下るヘリ空母であっても2-4隻を保有することは、外見上での優位でもある。2隻建造中とされる中国本格的空母が就役するまでは、本艦は空母戦力での日本優位を示す道具としても利用できるだろう。
■ 格納庫に入れるヘリが足りない
ただし、海自ヘリ空母の整備にも問題がある。「いずも」型、「ひゅうが」型を合わせた4隻体勢の完成により、海自水上艦隊のヘリコプター搭載可能数は従前から飛躍的に向上する。だが、搭載すべきヘリコプターの数は以前とほとんどど変わらないためだ。
本艦が就役する平成29年度末、海自護衛艦のヘリ搭載能力は113機程度* となる。転籍練習艦も含め、搭載可能な護衛艦は50隻あり、その格納庫能力で計算するとそうなる。
しかし、搭載できるヘリはいまのところ85機しかない。しかも10機程度は津軽海峡防備等の陸上運用分である。実際に搭載できるヘリの数は75機程度である。海自は護衛艦に格納庫を113機分作ったが、肝心の搭載ヘリは75機しかないということだ。これはあまりにも少ない。** 格納庫を作っても、搭載ヘリに苦労するようでは「仏作って魂入れず」のようなものだ。
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