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「弱い指導者」の弊害 カタルーニャ独立運動(上)   

Japan In-depth / 2018年1月17日 18時23分

「弱い指導者」の弊害 カタルーニャ独立運動(上)   

林信吾(作家・ジャーナリスト)

林信吾の「西方見聞録」
カタルーニャ独立問題・番外編(上)

【まとめ】

・カタルーニャ州州議会選挙の結果は、独立派70議席獲得で過半数超え。

・ラホイ首相率いる国民党は独立派からも反対派からも支持得られず惨敗。

・実際に独立が実現する見込みはほとんどなく、「弱い指導者」は国民のためにならない。

 

【この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ表示されることがあります。その場合はJapan In-depthサイトでお読みください。】

 

「火事は最初の5分間、選挙は最後の5分間」という言葉があるそうだ。火事はさておき、選挙の予測というのは、本当に難しいものだ。最後の最後まで、なにが起きるか分からない。

 

昨年、英国のEU離脱の是非を問う国民投票において、最後は僅差ながら残留派が勝つだろう、と予測して、情けなくも外してしまった私は、つくづくそう思う。

写真)英国EU離脱への抗議 2017年5月
出典)Photo by Ilovetheeu

 

2017年12月21日、スペインのカタルーニャ州で実施された州議会選挙において、独立派が事前の予測を覆し、過半数を得た。事前の世論調査では、独立反対派がかなり優勢で、独立派は過半数に必要な68議席(定数135)を割り込むだろうと予想されていたのである。

それが蓋を開けてみれば、70議席を得て過半数を確保。一時は下火になった独立運動が、再び活性化すると見られ、市場ではこれを嫌って、スペイン企業の株が売られ、国債の利回りが早くも上昇の気配を見せはじめた。

 

ただ、独立が本当に達成できるか否かは、当然ながら別問題で、それが実現する見込みはほとんどない、という点では衆目が一致している。

 


写真)リュイス・コンパニス通りで独立宣言が行われるのを待つ人たち。2017年10月10日、バルセロナにて
出典)Photo by Amador Alvarez

 

また、独立派が70議席を得たと言っても、それは3党の合計での話だ。具体的には、10月に独立案を可決させ、さらには住民投票での賛成多数を背景に、独立を宣言して話題となった、プッチダモン前州政府首相が率いる「カタルーニャのための連合」は34議席。

 

これに対して、かつての欧州連邦主義からカタルーニャ民族主義に転向し、独立強行と自治拡大との間で揺れ動いているように見える共和左派が32議席。これに左翼政党である人民連合党の4議席を加えて、ようやく70議席なのである。

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