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判事「性暴行」騒動で米上院共和党勝利

Japan In-depth / 2018年11月26日 18時0分

判事「性暴行」騒動で米上院共和党勝利


島田洋一(福井県立大学教授)


「島田洋一の国際政治力」


【まとめ】


・任期終身の米最高裁判事は、大統領以上に長く政治に影響及ぼす。


・選挙にも影響。最高裁人事の理解なしに米政治の機微を窺い得ない。


・カバノー氏承認阻もうとした民主党の戦略ミスが、上院奪還の野望砕く。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=42989でお読みください。】


 


「あなたが在任中に犯した最大の失敗二つは」と聞かれたアイゼンハワー大統領は、「その二つとも最高裁に座っている」と答えたと言われる。最高裁判事(定員9人)の任期は終身で、最長でも2期8年の大統領以上に、長く(時には40年近く)政治の現場に影響を及ぼす。その人選を誤ったという意味である。



▲写真 ドワイト・アイゼンハワー米元大統領 1959年 出典:White House(Public Domain)


実際アイゼンハワーが指名したアール・ウォレンとウィリアム・ブレナン、特に前者は60年代、70年代の新左翼全盛の風潮に迎合し、司法の左傾化を主導した。ちなみにウォレンは第二次大戦中、カリフォルニア州司法長官として、民主党ルーズベルト政権と協調し、日系人の強制収容を主導した人物でもある。ここでも「時代の空気」への迎合が顕著だった。



▲写真 アール・ウォレン第14代連邦最高裁長官 出典:Wikimedia Commons (Public domain)



▲写真 ウィリアム・ブレナン 出典:Wikimedia Commons(Public domain)


そのウォレンを、アイゼンハワーに強く推薦したのは副大統領のニクソンだとされる。ウォレンは大統領職に野心があり、同じカリフォルニアを地盤とするニクソンとしては、ライバルを最高裁に祭り上げたかったらしい。このことは、保守派の間に、ニクソンに対する疑念をくすぶらせる一要因となった。最高裁人事を頭に入れておかねば、アメリカ政治の機微を窺い得ない一例である。


さて最高裁人事は、空席が生じた時点で、大統領が後任を指名し、上院の承認を経て就任する。先の中間選挙の結果、上院は共和党52、民主党47という勢力図が現時点で確定している。残る1議席、ミシシッピー州の決選投票が11月27日に行われるが、仮に民主党候補が勝ったとしても、共和党の優位は動かない。


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