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プロフェッショナルな医師とは

Japan In-depth / 2019年8月12日 7時0分


▲写真 南相馬市立総合病院にて。左から坪倉正治医師、嶋田裕記医師 出典:著者


嶋田医師は2012年に東京大学医学部を卒業後、千葉県の名戸ヶ谷病院で初期研修を終え、南相馬市立総合病院の脳外科に就職した。前述したように、昨年4月福島県立医大の博士課程に進んだ。南相馬市立総合病院で診療の傍ら、臨床研究を行う。


彼が研究テーマに選んだのは、遠隔画像診断だ。かつて脳卒中は「東北地方の風土病」と言われた。以前ほどではないが、現在も脳卒中の頻度は高い。


この領域の診断・治療は近年、急速に進歩したが、東北地方ではその成果が充分に患者に還元されているとは言いがたい。脳外科および放射線科の専門医が少ないからだ。


遠隔画像診断は、この状況を変える可能性がある。この問題に取り組んでいるのが、広島市内で霞クリニックおよび株式会社エムネスを経営する北村直幸医師だ。CTやMR画像の遠隔診断システムを開発している。


エムネスの売りは画像データをクラウドに集約していることだ。そのシステムを導入した医療機関では、撮影されたCTなどの画像はクラウドにアップされ、エムネスと契約する放射線診断専門医が読影する。結果は、画像に読影レポートをつけて、クラウドを介して、医療機関に戻される。


エムネスの料金は安い。それは画像の保管にはグーグルクラウド、やりとりにはインターネット回線を使うため、経費を圧縮できるからだ。医療機関が負担する費用はMRIやCT 1台あたり月額3万円で、読影は一件で3000円だ。これは破格の安さだ。


エムネスは急速に顧客を増やしている。楽天OBたちが銀座に立ち上げた「メディカルチェックスタジオ」という脳ドック専門のクリニックにも導入されている。モンゴルなど海外からの画像も受け付けている。こうなると大量の画像データが蓄積する。これは人工知能の研究者にとって宝の山だ。


エムネスは、東京大学発のベンチャーであるエルピクセル社と共同で、人工知能診断を臨床現場に導入している。我々のNPO法人医療ガバナンス研究所もエムネスと共同研究を進めている。



▲写真 画像診断の様子 出典:エムネス / MNES Inc.Medical Network Systems Facebook


嶋田医師は、大学院のテーマとしてエムネスとの共同研究を熱望した。世界最先端の臨床研究が出来るからだ。エムネスも嶋田医師を非常勤医師として雇用したいとオファーした。


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