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「ロシアは歴史的な選択ミスをしたというくらいに追い込まないと、侵略に対するペナルティにならない」慶応義塾大学総合政策学科神保謙教授インタビュー

Japan In-depth / 2022年7月4日 12時7分

神保: そうです。ですから、ウクライナ紛争が起こる前から防衛費の拡大とか日米同盟強化というのはずっと言われていましたが、今回のことで日本が更にアクセルをふかすような状態になったと中国が評価しているのです。当然、日本がG7と歩調を合わせて全面的なロシアに対する経済制裁に参加するということは中国にとっては想定を超えたところに来た気がしますし、問題の切迫感をどう感じているかによってこのコアリションの組み方は変わりました。


日本にとってはアメリカがどうウクライナに関与するかはアメリカがどう台湾に関与するかとミラーのような形で見えています。ここでしっかりしてもらわないとアメリカのコミットメントは低下するし、逆にしっかりしすぎて向こうにばかり兵力を入れてインド台湾に割けないというのも避けたいので、ここは同盟国はしっかりするしかないという選択肢になってくる。そういう流れをまさに作ってしまって、日本は今や共産党や社民党を除き、与党だけではなくて野党でさえもはや防衛費の増額を否定できないナショナルコンセンサスになっている。かなり幅広い同意ができてしまうというのはおそらく戦後初めてです。こうなった原因はロシアの動きが大きいので、中国にとっては何してくれてんだということになります。







▲写真 ジョンソン英首相とウクライナ問題について話し合う岸田文雄首相 (2022年3月24日、ベルギー・ブリュッセル) 出典:Photo by Henry Nicholls - Pool/Getty Images


安倍: 日本政府はNATOへの接近とか、QUADなどでも主体的に動いている。一方でアメリカは本当に100%助けてくれるのか、核シェアリングですら議論が出来ないと安倍晋三元首相が声をあげたときには言っていたのだけれども、そうも言ってられないというような話になっていますから、ある程度参議院選が終わったら日本政府も独自に軍備強化の方向に世論形成していくのではないかという見方もあります。


神保: その通りだと思います。今回の骨太の方針でも岸田さんはいろいろな予算項目を立てたがあまり色がないと言われているが、防衛費増は明確に打ち出しているように思います。


向こう5年間でどの程度伸ばすかということについてはまだ具体的な数値目標は設定されていないが、可能な限り2%という目標に近づけていく形での相当な増額を官邸は念頭に置いており、これまで5兆円台中盤から後半であった防衛費がいよいよ10兆円近くまで拡大するというような振れ幅があるかもしれません。


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