「ロシアは歴史的な選択ミスをしたというくらいに追い込まないと、侵略に対するペナルティにならない」慶応義塾大学総合政策学科神保謙教授インタビュー
Japan In-depth / 2022年7月4日 12時7分
そうなれば、この中で変えるものは何か、これから自衛隊の能力という点でもどのように変化していくべきなのかという選択肢が大きく広がることになるので、予算額をベースに防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を作れるということは、かなり前のめりな防衛政策を展開する素地ができるということになります。
■ 台湾問題
安倍: バイデン大統領は、「台湾を防衛しますか?」と聞かれ、「イエス」と大見えを切りましたが、米中関係に変化はあったのでしょうか。
神保: まず、台湾防衛の言及についてはバイデン大統領の失言じゃないかと思っていたんです。バイデンも議員を50年やっていて外交委員長も務めていたため台湾の関係や地位に関して詳しいと思っていたので、それにしては気軽に台湾防衛について記者に言っていて意外でした。今回の発言の前に2回ほど同じようなパターンがあったが3回目となると意図的ではないかとまで思い始めています。
台湾関係法は基本的には台湾防衛のために必要な能力を提供するというアメリカの国内法で、それに基づいた台湾への武器の供与は今までの政権がやってきたことであり、バイデン政権もこれを進めるとしていました。問題は有事に関して防衛をするかどうかは時の米大統領が決めることである程度しか踏み込めなかったことです。これを明言すると公式な同盟のような形になって、上海コミュニケ以来の「一つの中国原則」を踏みこえたことになってしまい、中国が以後様々な協力を期待できなくなるという大きな変動になります。国務省や国防省としてはそういうことを意図しているのではない、ということを言いたいのだと思います。
つまりアメリカの言う“Our One China Policy”、一つの中国政策には変化がないというわけですが、アメリカ軍の最高司令官である大統領が、その都度どうコミットメントをするかという意思については彼があの場で言った通りです。アメリカ政府とバイデンをどう分けるか議論はあるものの、バイデンが大統領である場合、アメリカには台湾防衛の意図があるということを、バイデン個人として中国に対して示したのです。それを読み違えるなということをバイデン大統領自身は言いたい。
つまり、アメリカは今回の情勢でウクライナにもコミットできない、第三次世界大戦を避けたい、核のエスカレーションは嫌だ、というような姿勢ばかり示してしまったため、仮に中国と争うことになったら、中国は核を持っているし通常戦力も強いので、第三次世界大戦と言うかどうかは別にしても、強烈な通常戦争になる。
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