「石原さんとの私的思い出9」続:身捨つるほどの祖国はありや25
Japan In-depth / 2022年12月14日 23時0分
ここで、暴力団のC組の登場だ。
C組はB社にも食い込んでいてね。それで、A社がB社あてに出した「20億払います」っていう念書のコピーを手に入れてしまう。
C組がA社をゆすり始めるっているわけだ。
B社はB社で、A社に対して、念書を持っていることをネタに、A. Holdingの役員にしろとかA社の事業に参画させろって要求し出す。なんせ、念書が20億を裏金で出すっていう脱税の話だからね。
この辺のストーリー作りは、私の知恵が石原さんに取り入れられた部分の一つだ。交換と交換対象の二つの土地の価値の差額の支払い、その限度、限度を超えた裏金支払いの約束が行われることがあること、その場合は交換が無効になるだけではすまないこと、などなど。
話が一段落したところだったか、石原さんはこんなことを言いだした。
「あなたの作品でも、一人の経営者にモノローグをさせてみると、作品に幅が出るんじゃないかな。
ぐっと人間っぽくなる。
そして、最後に誰かが介入してくるんだ。そこで物語が大きく屈折して、発展する」
と示唆してくれた。
5月10日のミーティングの次には、7月25日に電話をいただいた。
13時15分に電話をいただいたのだが、私は外出していて、秘書がその旨を伝えると、
「お話ししたいことがありますので10分ほど電話で時間をいただきたい」とのことだった。秘書が15時過ぎに私が戻ると伝えると、「15時30分ころ改めて電話します」と秘書に伝言を頼んで電話は切れたという。
私には、石原さんと私の秘書の電話のやりとりが容易に想像できる。
先ず、自分で電話をかける。秘書が出てきたら、丁寧に話しかける。相手の都合を聞いて、それに合わせてスケジュールを決める。
決して、自分の都合を押しつけることはない。
そういう方だった。いつもそうだった。
その日二度目の電話は15時40分にかかってきた。17分間お話ししている。
石原さんは、
「会社としては、竹中とかサントリーみたいな同族会社で一流のところを想定している。
建設会社のつもりだ。
土地のスワップをやるわけなんだけど、脱税になってしまう。例の裏金の念書でね。
それが或る筋にばれる。
ヤクザの組織だ。
その組織が、ホールディング会社の株を入手して、株主総会に呼べ、って要求してくる。
会社としては、要求どおり呼ばざるを得ない、ということなんだな。」
そんな、石原さんの小説についての話をひとしきりした後、石原さんはこんなことを言いだした。
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