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平成13年の年賀状「車と私」・「人の心と会社経営」

Japan In-depth / 2023年5月10日 11時0分

心配したTさんが、「先生、Eに戻しませんか。小さいと運転、楽ですよ。私も最近はEを運転するけど、とっても楽」


F1ドライバーにとってすら運転が楽だというのだ。私は直ちに彼のアドバイスに従った。それが今乗っている車である。よく平気で乗ってますねと言われてしまいそうなほど、前のバンパーのペンキが削り取られ、右後ろのフェンダーにも凹みがある。私は気にならない。一度など、たまたま私の車を見たTさんが、「先生、たまには車洗ってやりなさいよ、可哀そうじゃないですか」と忠告してくれたくらいで、私は洗車にも神経質ではない。「フランス人は車を洗わない。彼らにとって車は下駄と同じで、別段汚れていても気にすることがないのだ。その点、日本人は愛車をとても大事にして、少しの汚れもとどめない」と読んだことがある。下駄とあったのを奇妙に感じたので今でもおぼえているのだ。私はフランス風ということになる。 


最近はほとんど毎日運転している。事務所までほんの少しの距離だから歩いてもよいのだが、仕事の書類をたくさん持っている身なので叶わない。


ところが、それが理由だったがもう今の時代は書類を持ち運びしなくなってしまった。だから歩くことも可能なのだが、やはり車に乗る。大昔、小田実がそのデビュー作『なんでも見てやろう』のなかで、アメリカ人の車についての習慣として、歩いて3分のところへ行くにも車に乗ると嘆いていたが、いまはアメリカ人の気持ちが分かる気がする。ここではアメリカ人風ということになる。


さて、この脱炭素の時代、省エネの時代である。私は、世の中のため、そして自分自身の健康のために車の運転を廃した方がよいかなと考え始めている。まあそのうち電気自動車に替わるだろうと思ってもいるのだが。 


23年前の年賀状には車を運転するのは「酒を飲まない日だけなので、限られたものです」と書いている。そのとおりだった。検事の時代、酒酔い運転で何人かを死に至らしめた青年被疑者の事件を扱ったことを今でも覚えている。取り調べに、「やおう行こうや、と言いながら皆で飲み始めたのですが」と供述していた。やおう、というのはやわらかく、という意味である。しかし結果は悲惨で、取り返しがつかないものだった。彼は交通刑務所へ行ったに違いない。


ところが、私はこの1年ほど前から酒をまったく飲まなくなってしまった。別に医者に止められたわけではない。体調が悪くなったのでもない。ただ、美味しくなくなり、そうなると酔っている時間というのがいかにも無駄な気がしてきたのだ。


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