平成13年の年賀状「車と私」・「人の心と会社経営」
Japan In-depth / 2023年5月10日 11時0分
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写真)東京。イメージ。
出典)Photo by Eric Lafforgue/Art In All Of Us/Corbis via Getty Images
『人の心と会社経営』
【まとめ】
・非上場の場合、会社の株の過半数を持っていなくてはいけない。
・浮利は自分の心を蝕む、食い殺す。
・「リスクを取れ」の真意はリスクは取れ、しかし浮利は追うなということであろう。
私は漱石の『心』の初版本を持っている。11年前、2012年の5月に買った。ただし、1979年7月に日本リーダーズ・ダイジェスト社が出した復刻本である。4000円だった。
頁を開くとすぐに気づくのは、漢字にルビが振ってあることだ。それも全ての漢字にである。復刻された奥付を見ると大正3年9月20日発行とある。「夏目漱石」と刻まれた縦長の四角い印が左上から右下にかけて斜めに押捺されている。なんと緑色の印肉だ。
主にちくま書房の全集と種々の文庫本とで『心』を何回も読んだ私は、それらでは以下の「序」に出逢っていなかったはずである。しかし、どこかで読んだ記憶がある。たぶん、岩波の全集で読んだのであろう。
「装幀の事は今迄専門家にばかり依頼していたのだが、今度はふとした動機から自分で遣って見る気になって、箱、表紙、紙、見返し、扉および奥附の模様、題字、検印とも、悉く自分で考案して自分で描いた。」(序の後半)
夏目漱石という緑色の印も漱石自身が考案して描き、色も自分で決めたのだろう。
この本は朱色石鼓文で名高い。その模様をみると誰もが岩波書店の本だと思うと、世に知られ権威のある作家が評したことのある模様である。
私はこの複製の初版本の事件に新米弁護士としてかかわったことがある。リーダーズ・ダイジェスト社が岩波書店ほかの出版社等に訴えられたのである。初版本を復刻して出すのは法律違反だという言い分だった。記憶では不正競争防止法が根拠の一つであった。私は、検事を1979年の3月末に辞めて二人のアメリカ人である準会員と日本人の弁護士とがいっしょにやっている弁護士事務所に入ったばかりだった。準会員というのは占領の遺産で、アメリカの弁護士資格を有しているアメリカ人が、日本の司法試験に合格することなく法律業務の一部を日本で行うことができる資格を与えられ、日弁連の準会員となっていたのである。
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