トランプ陣営の対日政策文書とは その5 日本の反撃能力保持の意味
Japan In-depth / 2024年3月10日 13時22分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日本は軍事能力面での革命的な変化に向かって前進を続けるようになった。
・日本の防衛費はGDPの2%に達し、総合的な軍事力で世界第5位となった。
・日本の艦隊はRIMPAC(環太平洋合同演習)に参加。なかでも注視されるのは日印共同訓練(JIMEX)だ。
アメリカ第一政策研究所(AFPI)の対日政策文書の全文紹介を続ける。
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★日本の軍事革命
安倍晋三氏の創造的な法律の拡大解釈と言辞の新設定は決定的に重要だった。しかし日本が真に地政戦略的な軍事面での変質をとげるには、地に足をつけた実態の変化が必要である。その点で近年の日本は軍事能力面での革命的な変化に向かっての目にみえる前進を続けるようになったといえる。
★防衛費の増加と機材の強化
日本の防衛費は2021年には541億ドルで、全世界では9位だった。だがなおこの防衛費は日本の国内総生産(GDP)の1%内に留まっていた。安倍首相も防衛費を大幅に増加することはできなかったのだ。しかし安倍氏はそれまでの10年間の日本の防衛費の減少を止めて、わずかながらの増加を果たした。
安倍氏の後任となった岸田文雄氏は首相として防衛費の大幅増額いう目標を達成したといえる。2023会計年度の防衛省の予算請求ではその後、5年間に防衛費を倍増することをうたっていたからだ。その結果、日本の防衛費はGDPの2%というNATO諸国の最低限の水準に達するという岸田首相の目標を実現させることとなった。岸田首相が率いる与党の自民党の内部、野党の多くの政党、さらには国民多数派の間でのこの防衛費大幅増額への支持は強いことが判明したといえる。
「グローバル攻撃火力指標」という軍事力比較の調査結果によると、日本は総合的な軍事力ではすでにアメリカ、ロシア、中国、インドに次ぎ、世界第5位という地位にある。日本はすでに900機以上の軍用機、イージス・ミサイル防衛システムを装備した8隻を含む48隻の駆逐艦、20隻の潜水艦を保有して、イギリスやドイツの軍事力を越えているのだ。日本はさらに合計147機のF35戦闘機を調達することになっており、その結果、このステルス能力を持つ戦闘機の保有ではアメリカ以外では世界最大の国となるのだ。
日本はまた「出雲」と「加賀」というヘリコプターの発着できる航空母艦を改造建設中である。この加賀という艦艇の名はやや厚顔にも第二次世界大戦の1942年のミッドウェー海戦でアメリカ軍と戦い、撃沈された日本海軍の空母と同じである。この加賀はF35が垂直の離着陸の能力を有するため、日本にとっては第二次世界大戦後、初の本格的な航空母艦となる。
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