もしトランプ政権になれば その1 日本のメディアの錯誤
Japan In-depth / 2024年3月20日 17時0分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・日本の主要メディアや識者とされる側にはトランプ氏への激しい反発がある。
・アメリカの政治の現実をみない情緒的な反トランプ症状とも呼べよう。
・2月13日の世論調査で、「もっとも尊敬する指導者」として有権者の42%がトランプ氏をあげた。
超大国アメリカではドナルド・トランプ前大統領が再選され、第二次トランプ政権は主要同盟の破棄など、孤立主義に徹する政策をとり、国際秩序を破壊する――
こんな「警告」がアメリカ、日本の両方の一部から発せられるようになった。結論を先に述べるならば、ワシントンに足を据えての私の現状の考察では、そんな予測は一方的な反トランプ的な政治党派性の強いプロパガンダに近い。トランプ支持層が形成するアメリカの政治の現実を反映していないからだ。
さて以下はワシントンからの最新報告である。
アメリカではいま大統領選挙の予備選が本格的な季節を迎えた。2024年3月下旬、選挙のそのうねりの中心はやはりドナルド・トランプ前大統領である。トランプ氏は早くも11月の本番選挙での共和党側の正式の指名候補となる見通しを確実にしてしまった。
その一方、民主党側では現職のジョセフ・バイデン大統領が再選への意思を明確にして、これまた選挙活動を強める。民主党では他に候補がいないから、このままだとバイデン氏が指名候補となりそうだ。その結果、前回の2020年の選挙と同様に、バイデン氏対トランプ氏の再対決になる展望が強くなってきた。
ではだれが超大国アメリカの次期大統領となるのか。
選挙の見通しは簡単ではない。だが一連の世論調査ではトランプ氏が優位に立つ。いまこの時点で投票が実施されれば、トランプ氏が勝つとの観測が実際の支持率の具体的な数字とともに明言される。だが実際の投票は7ヵ月以上も先である。その間にどんな変動が起きるかわからない。民主党側では高齢で記憶力の衰えが顕著なバイデン氏を他の候補に替えようとする動きも活発である。
とはいえ次期の大統領にはトランプ氏が返り咲きを果たすという予測が広まってきた。アメリカのメディアや識者たちも、第二次トランプ政権の登場を見越して、その実態はこうなる、ああなる、という予測を述べるようになったのだ。
この点、とくに日本側でのこれまでの読みは混乱をきわめてきた。もともと日本の主要メディアや識者とされる側にはトランプ氏への激しい反発がある。過少評価だともいえる。「反民主主義」、「独裁で乱暴」、「国際的に非協調」といったレッテル言葉に近い短絡な酷評が頻繁に発せられる。米側でトランプ氏を嫌悪する民主党支持メディアのニューヨーク・タイムズやCNNテレビのトランプ叩きの再生が多いのである。
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