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2月の米小売売上高、前月比0.6%増も市場予想下回る、消費者信頼感指数は4カ月ぶり減少(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月18日 11時0分

添付資料PDFファイル(206 KB)

米国商務省の速報(3月14日付)によると、2月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.6%増の7,007億ドル(添付資料表参照)となり、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.8%増)を下回った。なお、1月の売上高は、前月比0.8%減(速報値、2024年2月16日記事参照)から1.1%減に、12月も前月比0.4%増から0.1%増に、それぞれ下方修正された。この結果、3カ月移動平均でみると、3カ月連続で小幅なマイナスとなった。

自動車・同部品、建材・園芸用品、ガソリンスタンドなどが押し上げ要因に

業種別にみると、自動車・同部品が前月比1.6%増の1,339億ドル(寄与度:プラス0.30ポイント)で、全体を最も押し上げた。次いで、建材・園芸用品が2.2%増の404億ドル(プラス0.13ポイント)、ガソリンスタンドが0.9%増の530億ドル(プラス0.07ポイント)と増加に寄与した。ただし、今回押し上げ要因となった業種は、いずれも前月は比較的大きく下落していた(注)ものだ。これら業種の今回の上昇幅はいずれも、前月の下落幅の半分程度にとどまり、前月の天候などを要因とした落ち込みからの反発力は弱い。一方、家具は1.1%減の106億ドル(マイナス0.02ポイント)と減少した。

今回の結果を受け、米国大手格付け会社フィッチ・レーティングスのシニアディレクターのデービッド・シルバーマン氏は「2月の小売売上高は、消費者の体力はまだ比較的堅調だが、インフレと貯蓄の減少によって幾分圧迫されていることから、2024年の裁量財への支出が軟調になる可能性が高いことをさらに証明している」と述べた(AP通信3月15日)。米国のウォルマートやホームデポなど大手小売企業の直近の決算報告からは、消費者の間では数百ドル単位の高額商品を買い控える傾向がみられる(2024年2月27日記事参照)。また、ターゲットは、2023年通年の売上高が2016年以来初めて減少し(CNN3月5日)、2024年の既存店売上高を横ばいから2%程度の小幅な増加にとどまる見込みとするなど、個人消費の底堅さに不透明感が漂っている。

2023年第4四半期(10~12月)以降改善を続けてきた消費者マインドも低下している。民間調査会社コンファレンスボードが2月27日に発表した2月の消費者信頼感指数は106.7と、1月の110.9より4.2ポイント減少し、3カ月連続の増加から4カ月ぶりに減少に転じた(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数は147.2(1月:154.9)で7.7ポイント減少した。6カ月先の景況見通しを示す期待指数も79.8(1月:81.5)と1.7ポイント減少し、景気後退リスクの高まりを示唆するベンチマークとなる80の水準を下回った。業況や労働市場の見通し悪化などが主な要因だ。労働市場に関しては、2月の雇用統計で失業率の上昇が報告されるなど(2024年3月13日記事参照)、徐々に緩和傾向が見え始めている。

同社のチーフエコノミストのダナ・ピーターソン氏は今回の結果について、「2月の消費者信頼感の減少は、米国経済に対する根強い不安を反映し、3カ月間の上昇を中断させた」「消費者信頼感の落ち込みは広範で、所得1万5,000ドル未満の世帯と12万5,000ドルを超える世帯を除く全ての所得層に影響を与えた」と述べた。また、同氏は「2月の回答によると、消費者の関心は依然としてインフレ全般だが、ここ数カ月で緩和している食料品やガソリン価格への懸念はやや薄れている」とした一方で、「労働市場の状況や国内の政治環境を巡る懸念がより高まっている」と指摘した。

(注)1月は、前月比で自動車・同部品が2.1%減、建材・園芸用品が4.3%減、ガソリンスタンドが1.4%減となっていた。3月14日付の改定値ベース。

(樫葉さくら)

(米国)

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