米国務省、メキシコとグアテマラの3カ国間で難民に関する初の閣僚会合開催(米国、メキシコ、グアテマラ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月4日 11時15分
米国務省のアントニー・ブリンケン長官は2月28日、メキシコのアリシア・バルセナ外相、グアテマラのカルロス・ラミロ・マルティネス外相と3カ国間会合を首都ワシントンで開催した。国務省によると、これら3カ国間で難民に関する閣僚会合が開催されるのは初めて。米国側からはブリンケン国務長官のほか、アレハンドロ・マヨルカス国土安全保障長官とリズ・シャーウッド・ランドール大統領補佐官(国土安全保障担当)が参加した。
会合で発表した共同声明によると、3カ国は不定期な難民の根本的な原因に取り組むことの緊急性について合意した。また、国際的な人権保護基準への支持や、難民の尊厳と福利を保護して労働の権利を擁護するため、領事協力を維持することの重要性を強調し、人身売買撲滅への取り組みの重要性や人道的な国境管理の強化について議論した。そのほか、国境沿いの警備やインフラなどの改善に取り組む3カ国合同の作業部会を設置することについて約束した。
国務省は会合前の発表で、米国南西部の国境で遭遇する難民はメキシコ籍とグアテマラ籍が最も多いため、3カ国間で協力体制をとる努力が非常に重要となっているとしていた。ブリンケン長官は会合前に「人々には自国にとどまる権利があり、それは自国に居続けることが魅力的という環境が存在しなければならないことを意味する」として、移民元の国の努力が必要なことを強調していた。これに対し、マルティネス外相は「わが国民のニーズをまず管理しなければならないのはわれわれだ。機会を求めて移住する国民が増えないよう、われわれが機会を生み出し、提供しなければならない。よって、グアテマラがまず任務を果たさなければならない」と述べた。バルセナ外相は「貧困や人種差別、偏見、排除がある限り、世界の平和を実現することは難しい」と述べ、自国内での解決案には触れなかった。
世論調査によると、ジョー・バイデン米大統領の最大の失策について、4割超が移民政策を挙げている(2024年2月28日記事参照)。また、米国では不法移民の急増がマヨルカス国土安全保障長官の弾劾決議問題につながるなど(2024年2月8日記事参照)、大きな注目を集めており、11月の大統領選挙などでも主要な争点の1つになるとみられている。
(吉田奈津絵)
(米国、メキシコ、グアテマラ)
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