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なぜレクサスにステーションワゴンが無い? 欧州ブランドでは定番も30年以上設定しない理由

くるまのニュース / 2020年11月27日 9時10分

1989年に北米市場で誕生したトヨタの高級ブランド「レクサス」。日本では2005年から上陸しており、2020年現在では高級ブランドのひとつとして定着しました。そうしたなかで、欧州ブランドではステーションワゴンが定番化していますが、なぜレクサスにはステーションワゴンが無いのでしょうか。

■レクサスはなぜステーションワゴンを設定しないのか?

 トヨタが北米で1989年から展開している高級ブランドのレクサス。最近では、日本でも高級ブランドとして定着しています。
 
 一方、以前から高級ブランドとして展開する欧州のメルセデス・ベンツやBMW、アウディでは、セダンとステーションワゴンを設定するのが定番ですが、なぜレクサスにはステーションワゴンが設定されていないのでしょうか。

 2020年現在、レクサスが世界で展開するラインナップでは、セダンの「IS/ES/GS/LS」、クーペの「RC/LC」、ハッチバックの「CT」、SUVの「UX/NX/RX/GX/LX」となり、日本や欧州ではGSは生産終了、GXは未導入ですが、北米では販売されています。

 また、中国では2019年にラグジュアリーミニバンとして「LM」を発表。日本でも大きな話題となりました。

 一方、レクサスの各モデルと比較されやすい欧州ブランドでは、これらのボディタイプ以外にステーションワゴンを設定しています。

 メルセデス・ベンツでは「ステーションワゴン(一部シューティングブレーク)」、BMWでは「ツーリング」、アウディでは「アバント(一部スポーツバック)」と分類されて展開。

 ステーションワゴンは、セダンのような高い走行性能と快適性を持ち、大きな荷物も積むことができる高い実用性を兼ね備えています。

 欧州では、陸続きで国々を移動する文化や習慣があり、その際にある程度の積載性(空間)が重視されます。

 また、ドイツでは一部区間が速度無制限となるアウトバーンが存在するため、日本やほかの地域よりも高い速度域で巡航する機会が多いことから、高い積載性と優れた走行性能の両方を兼ね備えているステーションワゴンには一定の需要があるのです。

 日本においてもステーションワゴンの販売が好調なスウェーデンの自動車ブランドであるボルボの販売店は次のように話しています。

「欧州では高級感のあるカテゴリとして、ステーションはステータスと認識されています。

 また、狩猟の文化がある地域では、狩りに出かける際にワゴンが用いられ、丈の長い猟銃を運んだり、狩った獲物を運ぶのに収納力が高いワゴンは適しているのです。

 とはいえ、割合でいえば欧州でもSUVはもっとも販売されているカテゴリです。しかし、『SUVは大衆車』というイメージから、現地ではワゴンを選ぶ人も多いようです」

※ ※ ※

 一方、レクサスが誕生した北米市場では以前から、乗り心地においてセダンの人気が高かったことや、積載性においてフルサイズのバンやSUV、ピックアップトラックが支持されていたこともあり、その間となるステーションワゴンは大きくシェアを伸ばしていませんでした。

 このようにレクサスブランドがスタートした北米市場の事情が、ステーションワゴンを展開しない要因のひとつだといえます。

 しかし、レクサスがスタートしてから約30年、そして2005年の日本上陸から15年経った現在でもステーションワゴンがラインナップされない理由とはなんなのでしょうか。

■グローバルで見るとステーションワゴンのシェアは大きくない?

 世界各地の自動車市場では、2000年以降から徐々にSUV(クロスオーバー車含む)の人気が高まっており、最近ではこれまでSUVをラインナップしなかったランボルギーニやベントレー、アストンマーティン、アルファロメオなどもSUVを投入しています。
 
 また、日本や欧州ではAセグメントやBセグメントといった小さなSUVの人気が急激に高まっており、2016年に日本や欧州で販売されたCセグメントSUVのトヨタ「C-HR」は一躍コンパクトSUVで代表的なモデルとなりました。

 さらに最近では、2019年11月には全長4m以下のAセグメントSUVとなるダイハツ「ロッキー」のOEM車トヨタ「ライズ」が発表され、瞬く間に人気SUVとなっています。

 レクサスでもそのSUV人気に対応するために、グローバルにおいて1998年にRX、1996年にLX、2002年にGX、2014年にNX、2018年にUXと次々とSUVラインナップを拡充してきました。

 2020年2月に、レクサスは2019年の世界新車販売実績を発表。総販売台数は過去最高となる76万5330台を記録し、その要因として前年となる2018年に新型モデルとしてESやUXの販売を例に挙げたほか、2019年8月にマイナーチェンジしたRXの販売が大きかったとしています。

2019年8月にマイナーチェンジしたことで商品力が向上した「RX」。日本のみならずグローバルでも人気。2019年8月にマイナーチェンジしたことで商品力が向上した「RX」。日本のみならずグローバルでも人気。

 世界的なSUV人気は日本も同様で、各国産メーカーがラインナップしていたステーションワゴンは2000年以降に次々と生産終了となり、その代わりに前述のようなSUVが台頭してきました。

 これらの要因からレクサスでは、販売するうえで高い需要が見込めないステーションワゴンをラインナップしないのです。

 では、レクサスにステーションワゴンがラインナップされていないことについて、実際のユーザーからはどのような反響があるのでしょうか。レクサスの販売店スタッフは次のように話します。

「ステーションワゴンを希望するお客さまは、年々少なくなっている印象があります。

 2010年頃は、まだ国産メーカーでもステーションワゴンがいくつかあったので、レクサスでもステーションワゴンを設定してほしいという声はいくつか頂いたのを記憶しています。

 しかし、2020年現在ではSUVの人気が高く、来店されるお客さまの多くはUXやNX、RXに関心を持っており、他社と比較される際もそのほとんどはSUVです」

※ ※ ※

 欧州ブランドでは、定番となるステーションワゴンですが、トヨタが北米市場からスタートしたレクサスでは、その成り立ちやグローバルでの動向を踏まえてステーションワゴンをラインナップしていないようです。

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