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マツダの象徴「ロータリー」再び「輝く」! ロータリーエンジンがEV新時代を支える「カギ」となる!?

くるまのニュース / 2023年4月19日 8時10分

世界がクルマの電動化に大きくシフトしていくなかで、マツダはBEV(電気自動車)に対しどのように向き合っていくのでしょうか。2023年4月14日から3日間開催されたイベント「オートモビルカウンシル」のマツダブースで、その一端を知る機会を得ました。

■日本初公開された新型「ロータリーエンジン車」にマツダの未来像を見た!

 マツダは2023年4月14日、「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」を国内初公開しました。同社の新たな電動化モデルですが、100%ピュアなBEV(バッテリーEV:電気自動車)というわけではありません。
 
 世界中の自動車メーカーがこぞってBEV化に向けた動きをみせるなかで、マツダは今度どういった進化を遂げていくのでしょうか。

「マツダはBEV化に出遅れているのではないか」

 近年、欧米や中国で急激に進むBEVシフトの流れに対し、現時点でのマツダ車のラインアップを見る限り、遅れを感じてしまうユーザーが少なくないかもしれません。

 そんななかでマツダは2023年1月13日、MX-30 e-SKYACTIV R-EV(以下、MX-30 R-EV)をベルギーのブリュッセルで世界初公開し、日本でも大きな話題になったことは記憶に新しいところでしょう。

 MX-30 R-EVは、同社が世界独自技術として誇るロータリーエンジンを発電機として用いるPHEV(プラグインハイブリッド車)です。

 その実車が日本初公開となりました。

 発表の場となったのは、幕張メッセ(千葉市美浜区)で2023年4月14日から16日まで開催された「オートモビルカウンシル」です。「自動車文化を愉しもう」というコンセプトで、クラシック・モダン・フューチャーを体感できる独自性の強いイベントでした。

 会場のマツダ関係者は次のように説明します。

「今モデルはMX-30として、e-SKYACTIV G 2.0(2リッターガソリンエンジン)+マイルドハイブリッド版、BEV(e-SKYACTIV EV)版に次ぐ3モデル目となります。

 ロータリーエンジンを発電機として使うシリーズ式ハイブリッド車です。マツダらしい技術を十分に活かし、EV航続距離を延ばすことができます」

 今回、MX-30 R-EVのボンネットを開けてみたり、またパワーユニットの単体の技術展示をじっくり確認したところ、シリーズハイブリッド車としてはパワーユニット全体がコンパクトな点が印象的です。

 加えて、外部から充電できるプラグイン機構がプラスされるという独創的なアイディアにマツダらしさを感じます。

 一方で、欧州を基点にアメリカや中国で急激にBEVシフトが進み、それに刺激されるかのように日系メーカー各社が次々とBEVを導入し始めている現時点で、マツダの量産BEVのラインナップは、グローバルでMX-30 EVのみという状況です。

 MX-30 EVは、電池容量が35.5kWhと乗用BEVとしては比較的小さく、満充電での航続距離もWLTCモードで256kmと比較的短いため、今回登場したシリーズハイブリッド+PHEVという合わせ技が登場したと考えられます。

 それでも、マツダのEVシフトについて出遅れているという印象を持つ人は少なくないでしょう。

 マツダとしての「これから先のEV」について、改めて整理してみます。

 同社が2022年11月に発表した将来事業戦略のなかでも、将来の電動化について述べられています。

 マツダでは2030年までの動きを大きく3つのフェーズと定義し、その第2フェーズで、中国でのEV発売を皮切りにグローバルで導入したうえで、第3フェーズでバッテリーEV(BEV)専用車のグローバルでの本格導入を行うとしています。

 2020年代中盤頃から、日本市場においてもマツダの「次の時代のEV」の姿がしっかり見えてくることでしょう。

■ロータリーを軸にすると見えてくる「マツダ」進化の道筋とは

 EVシフトや電動化といった観点でマツダの未来を考えるうえで、今回のオートモビルカウンシルの出展は、ユーザー、自動車業界関係者、そしてマツダ関係者自身にとって有意義な場になった、という印象があります。

 なぜならば、改めて「ロータリーエンジンを軸足としてマツダを見ること」ができたからです。

マツダらしい技術を十分に活かし、EV航続距離を延ばす「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」のパワートレインマツダらしい技術を十分に活かし、EV航続距離を延ばす「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」のパワートレイン

 筆者(桃田健史)は今回、ロータリーエンジンの開発に長年携わってきたエンジニア、マツダ百年史の編纂(へんさん)に携わった担当者、マツダ主要モデル担当の元主査、マツダ経営幹部など、様々なマツダ関係者と直接意見交換しました。

 そこで浮き彫りになったのは、仮にMX-30 R-EVが世に出なかった場合、マツダロータリーエンジンの歴史に事実上終止符が打たれてしまい、結果的に「マツダの将来像」をイメージすることが難しくなったはず、という点です。

 今回オートモビルカウンシルのマツダブースに出展されたロータリーエンジン搭載車は3台ありました。

 世に出た順では、1975年発売の「コスモAP」、2006年に国内でリース販売を行った「RX-8 ハイドロジェンRE」、そして2023年発表のMX-30 R-EVです。

 これら3台は、それぞれの時代での「企業としてのマツダの考え方」や「マツダ車がこれからありたい姿」の象徴なのだと感じます。

 例えばコスモAPは、アメリカ市場での復権を目指し、マツダ初となる高級スペシャリティカーとなったモデルで、ロータリーエンジンの燃費は従来比で40%減を達成しています。

 マツダ百年史・正史編によれば、70年代初頭の第一次石油危機により、当時アメリカ市場シフトを急速に進めていたマツダは経営危機に直面し、そこから復権するためにコスモAPが大きな役割を果たしたと記述されています。

 RX-8 ハイドロジェンREは、水素燃料とガソリンが切り換え可能なデュアルフューエルシステムを搭載したロータリーエンジン車です。

 当時、欧州を中心に水素を自動車用燃料として活用する議論が高まっていました。世界の国や地域において、地球環境に対する視点から自動車の未来を考えるようになった時代でした。

 結果的には、燃料電池によって自車発電する電気自動車であるFCV(燃料電池車)が水素活用の主力となり、水素を直接燃焼するタイプのエンジンの需要は増えていきませんでした。

 ところが2020年代に入り、トヨタを中心として水素燃料車の研究開発が急速に高まっている状況です。

 そして今、2050年のカーボンニュートラル実現(脱炭素社会)に向けて、BEV以外にも、カーボンニュートラル燃料、e-フューエル、次世代バイオ燃料、そして水素など新しい液体燃料または気体燃料の利活用というように、多様な手段に対する議論が進み始めています。

 そうした時代の流れのなかで、ロータリーエンジンが発電機という役目で再登場したことは、マツダにとって極めて大きな意義があるのだと感じます。

 マツダ史を振り返ってもわかる通り、ロータリーエンジンは単なるハードウエアではなく、時代が変わってもマツダの企業理念を貫く、一本の「太い矢」なのだと思います。

 マツダが現時点で描く、2030年時点での自社グローバル販売数の中でのEV比率は、25%~40%とフレキシブルな設定です。

 しかし2030年代になってもマツダにとってロータリーエンジンが果たす役割は、技術面のみならずマツダの企業理念を未来へと貫いていくうえで、とても大きな存在であり続けることは間違いないでしょう。

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