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深夜の新東名を「自動運転トラック」が走行!? 24年度に専用レーン登場へ!「物流問題」解決なるか?

くるまのニュース / 2023年4月26日 8時10分

2024年に、新東名高速道路で自動運転車専用のレーンが設置されることになります。深夜の大型トラックを想定したレーンだといいますが、どのようなものなのでしょうか。

■かつての「隊列走行」とは異なる「自動運転レーン」

 新東名高速道路で、2024年度に自動運転車用レーンが誕生することになりました。いったいどんなクルマが走るのでしょうか。
 
 まず場所ですが、新東名高速道路の駿河湾沼津SAから浜松SAの約100kmで、国は深夜時間帯での実証実験を検討しています。

 走行するのは、自動運転レベル4を想定した大型トラックです。

 そう聞くと「また、あの隊列走行の実証試験が再開されるのか?」と思う人がいるかもしれませんが、今回の話はそうではありません。

 隊列走行とは、その名の通り、大型トラックが隊列を組んで自動運転するものです。国の研究機関では2016年から実験施設内で研究開発を始め、2021年2月には新東名高速道路の一部区間で実車3台を使った実証実験をおこなっていました。

 実は、その実証実験の結果、大きな課題が見つかったといいます。それは、隊列の間にほかのクルマが割り込んだときに、システムがうまく対応できない場合があったということです。

 自動運転隊列走行では、先頭のトラックの運転席にドライバーがいる有人で、また後続の2台のトラックは無人の状態で、いわゆる「電子けん引」をしたように走るのが特徴です。

 車間距離は5mから10m以内に制御され、そのためにステレオカメラ、ミリ波レーダー、またレーザーを使って物体検知をするライダーなど複数のセンサーに加えて、760MHz/4G-LTE/光通信などで車車間通信をおこなうなど、現在の技術で考えられる多様な方法を駆使しても、隊列に割り込みが発生した場合には安全で安定した運行をおこなうことが難しいということでしょう。

 これは日本だけが抱えている課題ではないようです。アメリカや欧州でおこなわれてきた自動運転隊列走行の実証実験でもさまざまな課題が出てきたため、日本を含めて欧米でも「まずは自動運転レベル4で単独走行」の実現を目指し、その応用編として自動運転隊列走行を検討するという流れになってきました。

※ ※ ※

 国が現在実用化を目指しているレベル4トラックは、2021年度に仕様の検討を開始。翌2022年度には、テストコース内での走行や関東圏から中京圏の実際の高速道路で基礎データ収集のために手動運転を実施しています。

 そして2023年度には実際の高速道路単において、レベル4の機能を有するトラックを使用したレベル2の単独走行を始め、2024年度には新東名高速道路で自動運転車用レーンを設けてレベル4での走行を実現させたいとしています。

 日本では2025年度以降に、自動運転レベル4での隊列走行の実現を目指しています。

■そもそも自動運転レベル4って何?

 では、自動運転レベル4とはどういったものなのでしょうか。

 自動運転といえば、乗用車では、2021年にホンダ「レジェンド」に「ホンダセンシングエリート」という機能が搭載され、自動運転レベル3を世界で初めて量産化したことが大きな話題になりました。

世界初の自動運転レベル3を搭載したホンダ「レジェンド」世界初の自動運転レベル3を搭載したホンダ「レジェンド」

 レベル3とは、運転の主体がクルマのシステムが担う仕組みで、一定の条件が整うとドライバーは走行中に運転以外のことができるという、自動車業界にとっては画期的な進化です。

 一定の条件とは、高精度地図が構築されているエリア、高速道路などの自動車専用道、衛星測位での自車位置の認識、安定した気象状況などを指します。

 ただし、ホンダセンシングエリートでは、法規制や安全性の確保から、レベル3が可能になるのは渋滞中で、かつ走行中に運転席にいる人がおこなえるのは動画視聴などに限定されています。

 さらに、豪雨などで気象状況が悪化した場合といった、自動運転を続行することが難しくなったときはクルマのシステムがドライバーに運転を要請してきます。

 一方、レベル3よりひとつ上のレベル4になると、運転の主体は常にクルマのシステムになります。

 そのため、ドライバーという概念がなくなり、車内にいる人は全員が乗員という解釈です。これを一般的に「ドライバーレス」と表現することがあります。

 モーターショーなどで自動車メーカーがこれまで出展してきた、車内がまるでリビングのような形状で乗員が対面で乗車している自動運転車が、レベル4のイメージです。

 一方、新東名で実施される自動運転車用レーンでは、ほかのトラックやクルマが同レーンに入ってこないという一定の条件によって、レベル4が安全におこなえるという考え方です。

 また、自動運転用レーンを使った実証実験で大切なのが、「先読み情報」の適格な確保です。

 具体的には、本線での渋滞の状況はもちろんですが、本線への合流の状況や本線上の落下物などを、通信技術によって走行中のレベル4トラックに限りなくリアルタイムに近い状態で情報提供します。

 道路管理者は、レベル4トラックの走行状態を常にモニタリングするシステム開発も必要になります。仕組みとしては、飛行機の管制塔や、新幹線の運行管理センターのようなイメージでしょう。

 なお、レベル4では、運転の主体がクルマのシステムなので、いわゆる遠隔操作とか遠隔運転という考え方は理論上当てはまらないというのが国の認識です。道路管理者は、レベル4トラックの安全な運行を管理する立場だといえるでしょう。

 こうした自動運転車用レーンによるレベル4は、当面、都市間を運行する大型トラック向けという考え方になります。

 あくまでも筆者(桃田健史)の私見ですが、乗用車のレベル4専用レーンという考え方を本格的に検討するのは、早くても2030年代中盤以降になるのではないでしょうか。

 物流業界は今、いわゆる「2024年問題」に直面しており、トラックドライバーの働き方改革を含めた抜本的な業界再編が必要とされています。

 そうしたなかで、自動運転車用レーンによるレベル4トラックが、物流改革を実現させるための大きなキッカケなることが期待されます。

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