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アモルファス材料における力の伝播メカニズムを解明 〜高強度・高耐性粉体材料の新規開発に期待〜

共同通信PRワイヤー / 2024年4月22日 14時0分

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1  概要

 砂場の砂のように、ランダムに配置された乾燥した粉粒体に力を加えた時、鎖状に伝播することが知られています。これはフォースチェーン(注1)と呼ばれ、力が大きくかかる領域では破壊が起こりやすいため、どのような場所に力がかかりやすいかを知ることは重要でした。しかしながら、フォースチェーンの存在は知られているものの、どこに発現するかはわかっていませんでした。また、フォースチェーンがない状態に比べ、材料の物性がどう変化しているのかについてもわかっていませんでした。

 東京都立大学大学院理学研究科物理学専攻の栗田玲教授、田村優斗氏(研究当時:大学院生)、谷茉莉氏 (研究当時:助教、現在:京都大学大学院理学研究科 助教)らの研究グループは、数個の粒子の配置や相互作用を1つの粒子の弾性率に組み込み、弾性率の異なる粒子を並べ、アモルファス(注2)材料を表現し、粗視化粒子シミュレーションを行いました。フォースチェーンは弾性率の空間分布だけでは説明がつかず、高い弾性率に挟まれた部分での密度変化を考慮すると、高い相関があることを見出しました。このことから、局所的に弾性率の高い場所とそれに挟まれた領域にフォースチェーンが形成されることがわかりました。

 また、フォースチェーンが形成されない均一系に比べて、フォースチェーンが形成される系ではポテンシ ャルエネルギーが小さくなることがわかりました。これは体積弾性率(注3)が小さくなっていることに対応します。このことから、できるだけ均一なアモルファス材料であるほど、力の伝播分布が小さく、体積弾性率が高くなることがわかりました。


■本研究成果は、4月17日(現地時間)付けで Nature Publishing Group が発行する英文誌 Scientific Reports に発表されました。本研究の一部は、学術振興会科学研究費補助金(基盤 B No.20H01874)の支援を受けて行われました。


2 ポイント

1 アモルファス材料において、力の伝播機構の解明が望まれていました。

2 配置や内部の相互作用を弾性率に組み込んだ粗視化粒子シミュレーションを行いました。

3 局所的に弾性率の高い場所とそれに挟まれた領域にフォースチェーンが形成されることがわかりました。

4 フォースチェーンが形成される系ではポテンシャルエネルギーが小さくなることがわかりました。


3 研究の背景

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