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右手の指が3本で生まれてきた娘 見たがった友達は?「100万回いいねをしたい」【作者インタビュー】

マグミクス / 2023年1月29日 16時10分

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 娘から聞いたうれしいエピソードを描いたマンガ「その手」が、Instagramで400以上のいいねを集め話題となっています。生まれつき右手の指が3本の「裂手(れっしゅ)症」の娘。陸上教室の合宿で、お友達から「手を見せて」と言われ、恐るおそる手を見せたところ、お友達が……という内容で「素敵!」「100万回いいねをしたい」「泣けるくらいうれしい」などの声があがっています。

 このマンガを投稿したのは、NPO法人Hand&Footの代表理事を務める、はんどあんどふっとさんです。春日たろうさんの作画で、娘の「りっちゃん」についてのマンガをInstagramで発表しています。はんどあんどふっとさんに、作品についてのお話を聞きました。

ーーマンガを描き始めたのは、いつ頃からでしょうか?

 現在10歳の娘「りっちゃん」の右手は、「手が裂ける」と書いて「裂手(れっしゅ)症」といいます。指2本が欠損していて、関節もひとつない、約2万人に1人の手の形だと言われています。りっちゃんの出産をきっかけに、手足が多くの人とは違う形で生まれてくる子供たちが、ほかにもたくさんいることを知りました。

 手足の違いについて知ってもらうことで、いつかどこかで出会ったときの「びっくり」を少しでも減らせるのでは、との思いから、2017年にマンガでの発信を始めました。初期はTwitterのみで連載していたのですが、2018年からはInstagramでも発信しています。

ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。

 りっちゃんにとって初めて会うお友達がいる場は、「どう思われるのかな」「変って言われないかな」と、ドキドキする場面です。珍しい手ですから、びっくりするのは当たり前のこと。ただ、「手どうしたの?」と聞かれるだけでなく、傷つくような反応や言葉があると、やはり本人にとってはつらいです。

 市民プールで、小学生高学年女子グループのひとりが、りっちゃんの手に気付いて仲間内で教え合い、面白がって順番に見に来たこともありました。また、小学校に入学したばかりのときには、ほかのクラスの子が次々に教室に見に来たり、同級生の男の子から「人間じゃない、ばけものだ」と言われた経験もありました。

 そんななか、さまざまな地域の子供たちが参加する陸上教室の合宿に参加することになり、前日はとても不安がっていたのですが、「初めて出会った子が、『かっこいいね』と言ってくれた」と、帰ってきてすぐにニコニコの笑顔で教えてくれました。それが強く印象に残ったので、マンガにしようと思いました。

ーー今までりっちゃんは、初対面の相手に手を見せることにためらいがあったのでしょうか?

 人との違いに気付き始めた5~6歳の頃は、外を歩くときに「見えないように、こっちの手をつないで」と、3本の指の手を隠したがっていました。

 小学校入学前の直前は「変って言われないかな」と、毎晩お風呂で不安がっていたり、自分のおひなさまに「りっちゃんを守ってください」と日々お祈りしていたりと、初対面の相手が多い場は苦手意識がある様子でした。

 10歳の今では、普段はほとんど気にしていないのですが、初めて行く場所や人の多い電車のなかなどでは、手が周囲に見えないようにお洋服で隠していることもあります。この陸上教室の合宿は、「りっちゃんの手を初めて見るであろう子もたくさん参加する」と事前に分かっていたので、すごく不安がっていました。

ーーこのエピソードをりっちゃんから聞いたとき、どのように思いましたか?

 母親である私にとっても、りっちゃんが生まれてから、まわりの反応はさまざまでした。「何か薬を飲んだの?」と言われたり、突然街なかで「かわいそうねえ」と言われたり、子供会の集まりで、お友達のひとりが手に気付いて指摘した瞬間、周囲がシーンとしてしまったり……。周囲の反応が怖くて、赤ちゃんの頃は手を抱っこひもにしまい、隠すようにして外を歩いていた時期もあったので、今回のエピソードは私にとってもすごくうれしかったです。

「かっこいいね!」という反応は私にとっても初めてのことで、何より、りっちゃんの手をそんなふうに言ってくれて、「不安がっていたりっちゃんに、自信をつけてくれてありがとう!」と心から思いました。「人との違いを『かっこいい!』と言えるお子さんのご両親はどのような方なんだろう?」と、ご両親にもお礼を伝えたくなりました。

ーー私たちが、りっちゃんのような手を持つ人に接したとき、意図していなくても、どのような言葉や態度が傷つけてしまうのでしょうか?

 りっちゃんは、手に気付いても触れずに自然に流してほしいタイプですが、はっきり聞かれた方がラクという子もいますし、人それぞれです。もしどこかでりっちゃんのような子に出会ったときは、「手足に違いがある人」としてひとくくりに見るのではなく、ぜひその子自身を見ていただけたら、と思います。

 初対面でじろじろ見られたり、ヒソヒソ話されたりするのはもちろん、見た目の特徴をからかわれたり、何度もしつこく聞かれたりすると傷つくのは、誰でも同じだと思います。ただ、珍しい手足に出会ったとき、つい見てしまったり、何も知らなければびっくりしたりするのは当然のことです。「見ちゃだめ!」「そんなこと言ってはだめ!」ではなく、世の中にはいろいろな人がいるのだということを、お子さんとお話するきっかけにしてもらえたらな、と思っています。

「こうしてください!」と押し付けるつもりはまったくなく、「そういう手足もあるのだ」と、出会う前に知っていてくれる人を少しでも増やせたらうれしいな、と思い、発信しています。「知ってるよ」「そういう子はほかにもいるよね」という方が周囲にひとりでもいれば、違いを持って生まれたその子やそのご家族の世界は、大きく変わるはずです。

ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?

「百万回『いいね』したいくらい、こちらもうれしいお話です」「泣けるくらい僕もうれしい」と一緒に喜んでくれるコメントや、「『かっこいい!』って、素敵な感性だと思う」と、相手のお子さんに対するコメントも届きました。

ーー現在取り組んでいる創作活動について教えて下さい。

 引き続き、手足の違いがあることについて、出会う前に「知っている」ことをひとつでも多く増やせるような発信をしていきたいです。

(マグミクス編集部)

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