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『Zガンダム』なぜクワトロ機じゃない「リック・ディアス」も赤く塗り替えられたの?

マグミクス / 2024年3月13日 6時10分

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■軍用機を塗り替えるなら理由はあるはず

「リック・ディアス」とは、アニメ『機動戦士Zガンダム』に登場するモビルスーツ(MS)です。主人公側陣営である「エゥーゴ」が開発したMSで、新素材「ガンダリウムγ(ガンマ)」を装甲に使用していることから、当初「γガンダム」と命名される予定でした。なおその外見は、「ガンダム」には似ていません。現在では『機動戦士ガンダム0083』に登場した「ガンダム試作2号機」の流れを組んでいるからこその「γガンダム」で、連邦系とジオン系の技術がミックスされた設計、ということになっています。

 その「γガンダム」は、エゥーゴ幹部の「クワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)」が「別のコードネームにしたい」という意向を示したことで「リック・ディアス」となりました。

「リック・ディアス」は、開発当初のエゥーゴが正規軍ではなく、ゲリラ的な戦術を考えていたため、目立ちにくい黒を基調とするカラーリングとなりました。赤をパーソナルカラーとするクワトロの専用機だけが、赤い塗装をしていたのです。

 しかし、中盤よりクワトロが乗らない機体まで赤い塗装に変更されます。劇場版『機動戦士ZガンダムII ―恋人たち―』では、一部に黒い機体も見られますが、大半が赤い機体となっていました。

 軍用機の色を採用後に変更する事例は、たとえば旧日本海軍に存在します。戦闘機、艦上攻撃機、艦上爆撃機、水上偵察機などがグレー塗装だったところ、途中から濃緑色に変更しました。戦局が不利になることにともない、上空から発見されにくい色としたわけです。

 ただ「リック・ティアス」の場合は黒から赤ですから、むしろ目立つ色への塗装変更です。ほぼ同じ時期に敵対組織「ティターンズ」から奪取した「ガンダムMk-II」も濃紺から白に塗装変更しており、これも目立つ色への塗装変更といえます。

 軍用機で「発見されやすくする」メリットはありませんので、目立ちやすくすることには、きっと理由があるのでしょう。ちなみに「クワトロの活躍が評判となったので、他のパイロットがあやかった」「偽装の意味合いがある」という設定があります。これはどういうことなのでしょうか。

■目立つ塗色が偽装になる…?

やはりジオン機にしか見えない。BANDAI SPIRITS「HG 1/144 リック・ディアス」 (C)創通・サンライズ

 一般的に考えて、パイロットはよほど腕に自身がない限りは、狙われやすくなる「目立つ色への変更」を喜ばないでしょう。

「ガンダムMk-II」の場合は「敵対組織ティターンズの色だから、本来のガンダム色に塗り替えた。ガンダム色で活躍した方が、スポンサーであるアナハイム・エレクトロニクスの受けがいい」といった事情があるのでしょうが、自陣営の開発機である「リック・ディアス」の場合は当てはめられません。

 ですから「クワトロの活躍にあやかっての塗装変更」は理由の一部で(変更には手間も費用もかかりますし)、「偽装の意味合いがある」が主なのではないかと思います。

 何を偽装するのかといえば「クワトロ(シャア)の存在」です。エゥーゴには「アポリー」「ロベルト」のように、偽名を使って地球連邦軍の軍籍を入手したシャアの部下が入り込んでいます。部下にとって、「連邦軍のクワトロ大尉なる人物は生存せず、シャアが生きている」という認識をされるのは、活動上デメリットがあるものと思われます。

『Z』第1話で、クワトロが「グリーン・ノア」を襲撃した際にも、クワトロ機を見た連邦軍将兵に「赤い彗星」と言い出す人物は複数いました。また、マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、MSの動きから「脅威度」や「乗っているパイロット」を判定するシステムの存在が示唆されています。

 つまり「赤いMSだからシャアだ」と単純に判断したのではなく、戦術コンピューターがクワトロ機の巧みな戦術機動も含めて「シャア・アズナブル」と判定した可能性も否定できません。単に赤ければシャア専用と判断されるなら、「ガンキャノン」や「マラサイ」もシャア専用と判定されるでしょうが、そんな事実はありませんし。とはいえ、目立つ色で活動を続ければ、特定されやすくはなるでしょう。

 シャアは新技術や人員をエゥーゴにもたらした幹部であり、万が一にも撃墜されては困る存在です。エゥーゴを率いる「ブレックス」は、クワトロの正体をシャアだと知りつつ重用しているようですから、「エゥーゴの赤いMS」を増やして、シャアの乗るMSを特定しにくくした上で、シャア本人には、シャアだとは思われにくい「金色」のMSである「百式」を用意したということなのではないでしょうか。

 ただ、ガンダムタイプである「百式」こそ、ガンダムカラーに塗ればよりエゥーゴの正当性をアピールできたようにも思えます。この辺り、「γガンダム」を「リック・ディアス」にしたシャアにとって、「ガンダム」への思いは複雑なのでしょうし、ライバルである「アムロ」の色であるトリコロールは避けたいという辺りで、妥協した結果が「金色」なのかもしれません

 あるいは、自分は撃墜されないと考えるシャアが「百式も赤でいい」と主張し、ブレックスが「ビーム耐性の高い塗料の試験も兼ねて、金色にしている。目立ちすぎて、大尉以外が乗っては撃墜されやすいので、納得してほしい」といったような説明がなされた可能性も考えられます。

 そしてシャア本人は「金色」に納得していないからこそ、「ネオ・ジオン」総帥になってから、専用機を「赤」に戻しているのでしょう。

(安藤昌季)

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