『シン・ウルトラマン』から予想する『シン・仮面ライダー』 焦点は「漫画版」の設定?
マグミクス / 2022年5月25日 17時10分
■気になるヒーローのデザイン
現在、『シン・ウルトラマン』が大ヒット公開中ですが、それと同じく『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース』(「シン」がつく4大作品のコラボ、以下SJHU)の一角である『シン・仮面ライダー』が2023年3月に公開予定です。はたして、どんなストーリーになるのでしょうか?
ともにTV特撮をリファインして、現代風の劇場用映画に再構築したふたつの作品。そこで今回は、『シン・ウルトラマン』のストーリーがどう再構築されたのかを振り返って、『シン・仮面ライダー』がどんな展開になるかを予想してみようと思います。
そうはいっても、現在のところ公表されている情報だけでは、両作品には共通点はそれほどありません。あえて言うなら主人公ヒーローのデザインでしょうか?
『シン・ウルトラマン』のウルトラマンは、原典と違ってカラータイマーがありません。それは、ウルトラマンをデザインした成田亨さんの描いた『真実と正義と美の化身』をもとにしているからです。完成したウルトラマンの造形以上に、本来のデザインへのリスペクトが感じられました。
一方の『シン・仮面ライダー』の仮面ライダーは、TV版初期13話まで使われた旧1号ライダーをもとに、胸のコンバーターラングやベルトのタイフーンなどにディテールを追加したものになっています。しかし、基本的なシルエットはTV版のままで、本来のデザインであるマンガ版に影響されたデザインではありません。
この主人公のヒーローデザインからもわかるように、旧作TV版をリスペクトしていても、どこに対してのリスペクトかはまったく異なります。この部分は「SJHU」すべてに関わっている庵野秀明さんの感性によるところが大きいのではないでしょうか。
この庵野さんのこだわりが強く出ていたのが、最初に公開された特報PVです。主演の本郷猛役である池松壮亮さんによる往年の主題歌『レッツゴー!!ライダーキック』にのせて、似たようなロケ地にバイク走行やカメラワークなど、TV版の初代オープニングを完全再現していました。
しかし、それとはまったく逆に仮面ライダーの乗るサイクロン、クモ男をリファインしたクモオーグなどはカラーリングやモチーフに共通点はありますが、完全に現代風のアレンジをされたものとなっています。
この点から想像すると、主役であるヒーローは多少のアレンジはあっても原典のシルエットを再現している。その周囲は原典にこだわることなく現代風にアレンジする……そう見て取れました。やはり主役ヒーローのデザインは大きく変えるものではない……と考えているのかもしれません。
■まだ発表されていない、ふたりの重要人物
公開されている『シン・仮面ライダー』の情報からは、TV版『仮面ライダー』を土台としたリメイクであることが予想される。画像は「仮面ライダー Blu-ray BOX1」(東映)
それでは、主役以外のキャラとドラマ部分はどうなるのでしょうか? その答えも『シン・ウルトラマン』と比べることで紐解いていきましょう。
『シン・ウルトラマン』では「禍威獣(かいじゅう)」、「禍特対(かとくたい)」といったように、原典で使われた単語を新しくしています。一方の『シン・仮面ライダー』では、原典で敵組織だったショッカーが秘密結社Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling、通称「SHOCKER」となっていました。これを日本語訳すると、「計量的な知能の埋め込み改造により持続可能な幸福を目指す組織」だそうで、組織の目的がよくわかる名前になっていました。
こういった劇中の単語に新しく意味を持たせるのはいかにも現代風。この他にも前述のように怪人の名前がクモオーグ、コウモリオーグ、ハチオーグといった名称になっていました。公式Twitterによると、従来の怪人にあたるSHOCKERの上級構成員は「オーグメンテーション」という処置で身体を強化されているそうです。
この他に、従来の戦闘員と思われるSHOCKER下級構成員の姿が発表されていました。このSHOCKER下級構成員は簡易的なオーグメント処理を受けているそうです。その姿はスーツ姿にベレー帽、顔はエンブレムで隠されているという、従来の戦闘員を現代風にリファインしたと思われるデザインでした。
最初の発表から少しずつ詳細を発表するのが、『シン・仮面ライダー』スタッフの盛り上げかたのようで、仮面ライダー第2号の登場もまずデザイン、その後に造形物と役者……という感じでファンの期待感をあおっています。ここでまだ発表されていないものを考えると、ふたりの登場人物の名前が思い浮かぶファンも多いことでしょう。
そのひとりが、仮面ライダーのおやじさんこと「立花藤兵衛」です。作品での重要度を考えると、出ないはずがありません。この藤兵衛を誰が演じるのかで、ストーリーの概要が見えてくる可能性があります。そして、もうひとりが「滝和也」。原点である『仮面ライダー』での活躍を考えれば登場しても不思議ではありません。
特に、藤兵衛の立ち位置が一番の注目と言えるでしょう。なぜなら彼の立ち位置はTV版とマンガ版で大きく違うからです。TV版では本郷猛のオートバイにおける師であり、スナックのマスターという役どころでした。しかし、マンガ版では本郷家に使える執事で、本郷とは主従関係となっています。
『シン・仮面ライダー』はTV版『仮面ライダー』のリメイク作品。しかし、この藤兵衛がどんな役どころかによって、マンガ版の設定がどの程度入って来るかがわかるというわけです。もしもマンガ版の設定が生かされるのなら、一文字隼人がTV版のように最初から味方でなく、脳改造後の敵として現れる可能性もあるかもしれません。そうなると、マンガ版「13人の仮面ライダー」が再現されることもあるでしょう。
『シン・ウルトラマン』でもTV版の設定だけでなく、当時の書籍で誤植として発表されていた「ゾーフィ」の設定が使われていました。つまり、どんな要素が加わるかは想像不可能。ファンがアッとおどろく要素が使われているかもしれません。
前述したように『シン・仮面ライダー』は定期的に新情報を公開しているので、これからもその情報から作品がどうなるのか想像しながら、来年3月の公開を心待ちにしていきましょう。
(加々美利治)
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