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変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第9回 TK-80とBit-INNとPC-8001、日本のパソコンの夜明け

マイナビニュース / 2025年1月14日 12時0分

画像提供:マイナビニュース

NECパソコンの発端となるのが、1976年8月に発売した「TK-80」である。

型番の「TK」は、トレーニングキットの意味で、マイコン(マイクロコンピュータ)の潜在的な需要を掘り起こすことを目的としたトレーニング用組立キットとして商品化したものだった。そのままでは動作せず、ハンダを使って組み立てる必要があった。

この頃、NECは、国産メーカーとして、いち早く、4ビット、8ビット、16ビットのマイコン製品を揃えていたものの、それを採用する企業がまだ少なく、応用分野はキャッシュレジスターやミシン、自動編み機などに限定されていた。それにも関わらず、設備投資が進み、マイコンの生産量を一気に拡大する計画が打ち出されており、それを消費するための新たな市場開拓が求められていたなかでの一手であった。

日本のパソコン産業の生みの親

プロジェクトを担当したのは、のちに「日本のパソコン産業の生みの親」とも言われる渡邊和也氏だ。「マイコンをどう使ったらいいのか、ということを知っている人がいない時代。そこで、全国にマイコン教室を作ってみたものの、現物がないために、テキストと黒板で教えても、生徒がなかなか理解できない。だが、実際に機器を活用したら、30分で理解してもらえた。そこで教材を作らなくてはならないと考え、そのために、入出力機能を持ったワンボードマイコンの開発をスタートした」というのがきっかけだ。

マイコンの販売が目的であったことからもわかるように、商品化を担当したのは、デバイス部門。もともと部品だけを販売してきた部門が、トレーニングキットを「完成品」として販売することに対して、社内にはタブー視する声があったため、同事業を統括していた大内淳義取締役(のちに会長)のアイデアによって、部品と位置づける「組立キット」として売ることにしたのだ。

CPUには、NECがインテルのセカンドソースによって開発したμPD8080A(クロック周波数2.048MHz)を搭載。ROMは768バイト、RAMは512バイトという仕様だ。ちなみに、TK-80の「80」は、μPD8080Aの型番が語源だ。8桁の7セグメントLED表示素子に、アドレスとデータを16進数で表示。キーは0~9およびA~Fの16個の16進数キーと、プログラミングやデバッグなどに使いやすい9つのファンクションキーで構成した。CPUやメモリ、キー、LED、プリント基板などは、関連部門の協力を得て、すべてNEC製だった。

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