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中国に懐柔された二階幹事長──「一帯一路」に呑みこまれる日本

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月26日 17時0分

二階幹事長が安倍首相の特使として訪中し、習近平国家主席に安倍首相の親書を渡した。各国首脳と異なる低姿勢ぶりが目立った。二階氏にターゲットを絞って日本の内閣を懐柔した習近平政権の思惑は成功している。

朝貢外交を具現化した二階幹事長の姿

4月24日、中国の中央テレビ局CCTV、人民日報、新華網および中国人民政府網は一斉に「習近平会見日本首相特使二階俊博」(習近平、日本首相特使二階俊博と会見)と報じた。 

その中でハッとするほど目立ったのは、自民党の二階幹事長が安倍首相の親書を習近平国家主席に手渡す時の「恭しい」姿勢である。というのも、24日、習近平は25日から始まる「一帯一路国際協力サミット・フォーラム」に参加する多くの首脳と続けざまに会見したからだ。CCTVで連続して映し出す各国首脳やIMFのラガルド専務理事等の姿は、横柄ではない程度ににこやかだが、決して「あなたに跪きます」といった風情の「へつらい」はなく、それなりに毅然としていて爽やかだった。

特に赤いマニキュアでポイントを付けたラガルドの直後に映し出された二階氏の姿は、「えっ!」と声に出したくなるほどの「朝貢ぶり」を全身から醸し出していたのである。

安倍首相の親書を習近平に渡す瞬間の映像はCCTVで観ることができる(映像が出てくるまでに少し時間がかかる)。うまくリンクしなかったら、CCTVの報道を転載したこちらのサイトでも観ることができると思うので、クリックしてみていただきたい。 

日本人の感覚からすれば、人に物を渡す時の姿勢としては、ごく普通かもしれない。

日本のTBSでも、同様の映像を報道していた。ただ、TBSの映像では手渡した後に二階氏が両腕を体にピタリと合わせて直立の姿勢を取った瞬間は映し出されていない。特に気にしていないからかもしれない。

CCTVで、敢えてその瞬間まで含めて放映したのは、それが「習近平への朝貢」の意思を体現していると解釈したからだろう。中国で生まれ育ち、中国人の視点に慣れている筆者にとっては、その「切り取り方」が何を表しているかは、すぐにピンとくる。多くの中国人にとっても一目瞭然であることから、この瞬間を逃さずに放映したものと思う。

また、二階氏は、まるで初めて習近平と会談した金正恩委員長のように、「私はあなたの生徒です」と言わんばかりに、必死になって習近平の言葉のメモを取っていた。他国の首脳がリラックスしてテーブルの上で手を組んだり、にこやかに椅子の背に体を持たせかけている姿とは、あまりに違い過ぎて異様な光景として映った。

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