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イスラエルにもハマスにも「停戦の意欲」なし...そこで不可欠となる、和平の「4条件」

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月15日 18時0分

イスラエルとの境界線に近いガザの街で起きた爆発(3月13日) Carlos Garcia Rawlins-Reuters

<かたくなに合意を拒むイスラエルとハマス。和平交渉を前進させるには、周辺国の妥協が欠かせない>

米大統領ジョー・バイデンに頭痛の種は尽きない。国内での人気は一向に上がらず、ウクライナ支援では議会の賛同を得られず、ガザ戦争の終結に向けた交渉も思うように進まない。イスラム教徒の聖なる断食月ラマダンが始まる前に停戦合意を取り付けたかったが、駄目だった。

いや、努力が足りないとは言うまい。アメリカやエジプト、カタールやサウジアラビアの外交官は懸命に根回しをした。しかし、そもそも戦争の当事者(イスラエルとハマス)に戦闘停止の意欲がない。なぜか。この戦争には、双方にとって死活的に重要な利害が絡んでいるからだ。

イスラエルはハマスを解体するか、少なくともその幹部をガザ地区から追放しない限り、この戦争をやめない。一方のハマスはガザを死守する覚悟であり、先にイスラエルが戦闘を停止して軍隊を引かない限り、人質の全員を解放するつもりはない。

つまり、どう見ても両者の立場は相いれない。

イスラエル側の急先鋒は首相のベンヤミン・ネタニヤフだが、強硬なのは彼だけではない。挙国一致の戦時内閣に加わった前国防相のベニー・ガンツ(ネタニヤフの最大の政敵である)も同様で、ガザ地区南部の都市ラファへの地上侵攻も支持している。

第三者の関与が不可欠

1948年のイスラエル建国以来、度重なる紛争を仲介し、停戦や和解を演出し、時に押し付けてきたのは第三国だった。具体的にはアメリカと(エジプトやシリアに影響力のあった時代の)ロシア、そして(今よりも権威があって強力な平和維持部隊を出せた時代の)国連だ。今回も誰かが、今まで以上に本腰を入れて介入しない限り、状況は打開できないだろう。

3月初めにネタニヤフの許可なく訪米したガンツは、安全保障担当の大統領補佐官ジェイク・サリバンや副大統領のカマラ・ハリス、国防長官のロイド・オースティン、さらに親イスラエルの有力議員たちとも会談したが、耳が痛くなるほど苦言を聞かされた。

ガンツの勝手な訪米にネタニヤフ(もともとバイデンとの相性は悪い)は激怒したと伝えられるが、結果的には助けられたのではないか。おかげでアメリカの本音を聞けたからだ。

もっと人道支援物資の搬入を許し、民間人の犠牲を減らすようにしないと、最大の支援国であるアメリカに見放されかねない。そういう懸念を、中道派のガンツは右派で固めた戦時内閣に率直に伝えたはずだ。

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