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「地球がどうなろうと関係ない!」禁断のベーコンを我慢できず食べてしまったビーガンのその後の食生活

ニューズウィーク日本版 / 2024年3月19日 17時41分

味わう歓び 10年ほど前には「食の砂漠」に心が折れそうになったというパンザー

<健康と環境のためにビーガンとして肉断ちをしてから1年が過ぎたころ。味気のない食事にどうしても耐え切れなくなった私は誕生日の日ついに......>

動物由来の食材を一切摂らない徹底した菜食主義であるビーガン。

2011年に私がこの食生活に切り替えた当時、カフェやレストランでビーガンが食事をしようと思ったら、厳しい現実を突き付けられた。

目の前に広がる風景はまさに「食の砂漠」だ。

サラダバーはビーガンに配慮してサイコロ状にカットした味付けなしの豆腐を提供していたが、それを食べる「楽しみ」は焼いていないパン生地を食べるようなものだった。

何とか選択肢を増やそうと、私はせっせと情報を集めた。

友達とレストランで食事するときはたいがい付け合わせのポテトとチーズ抜きのサラダを頼んだ。

変な客だと思われ ただろうがそんな注文にも応じてくれる店も少しはあった。

残念ながらフレンチはパス。チーズやバターなしのフランス料理なんてあり得ないから。

イタリアンはオリーブオイル中心なので食べられる料理もあるが、卵入りのパスタは要注意だ。

各国の料理を必死に調べて、エチオピア、インド、韓国にはビーガン向きの料理があると分かった。

畜産業が地球環境に及ぼす悪影響などを伝えるドキュメンタリーが放映され、人々の意識や趣向が変わり......時代の流れにつれてアメリカの外食産業もビーガン向けメニューを取り入れるようになった。

それでも時には蒸した野菜を味付けなしで提供されることもあったが......(ビーガンが避けるのは動物性食品だが、調味料も駄目と誤解されたらしい)。

料理なんて一生習う気はなかったけど、ビーガンになったらそうはいかない。

YouTubeを見て彩り豊かなスムージーの作り方も覚えた。

肉も魚も乳製品も断って1年たった頃、本物のベーコンが恋しくなった。カリッと焼いたベーコンをかじったとき口の中に広がる甘い脂...... 思い出しただけで唾
が出る。

あれもこれも我慢するのはもううんざり。

「食べたい物を食べたい!」と心底思った。

地球環境がどうなろうと知ったことではない!

「改宗の儀式」のはずが

菜食主義から足を洗った人たちの書いたものを読むと、我慢できなくなって肉を食べたのではなく、神の啓示のようなものを受けて「宗旨替え」したという人が多い。

ビーガンをやめるなら、それなりの「儀式」が必要だと思った。

ちょうど誕生日が近づいていた。いい機会だ。

その日、友達とレストランに行った私はメニューを見るまでもなく即座に注文した。

「串刺しベーコンのカリカリ焼きと野菜バーガー」

恋い焦がれたベーコンが皿に載って運ばれてきた。

私はかぐわしい匂いを嗅ぎ、滴る脂にうっとりし、死んだ豚に思いをはせて平らげた。

感想は、「まあまあかな」。

「ビーガン、やめる?」友達が聞いた。

「ノー。続ける」

ベーコンは相変わらずおいしかった。だが最後の一切れを食べて気付いた。

私はこれなしでも生きていける。

自分の健康のため、地球環境のために動物性食品を断つと決めたのだ。

自分が選んだライフスタイルを貫こう!

それから10年余り。

今では歩いて行ける距離に野菜と穀物を愛を込めて調理するレストランが何軒かある。

ビーガン食はちょっとしたトレンドだ。

もしまた揺り戻しが来て肉食ブームになったとしても、私は豆腐のマリネを作り友達にも振る舞うつもりだ。

ケイラ・パンザー(ライター)

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